楽器

2019年10月30日 (水)

螺鈿紫檀五弦琵琶

 ご先祖様から受け継いだせっかちな性格のおかげで、行列に並ぶのは苦手である。だから人手の多そうなイベントはなるべく避けるようにしている。昨日は朝から雨降りだったので、こんな天気なら来場者も少なかろうと、午後遅めに家を出て上野の国立博物館まで行ってきた。現在開催中の「正倉院の世界」展のために。珍しく事前の予想が的中して、まったく並ばずに入ることができた。しめしめ。

 見たかったのは、かの有名な螺鈿紫檀五弦琵琶である。無理やり自分のフィールドに近づけて書くと、貝やベッコウのインレイがびっしりと入ったローズウッド・バックの5弦琵琶--という感じかな。今回は8世紀に作られた本物と、レプリカ2本(1899年製と2019年製)の都合3本を見比べることができた。1899年製は材のセレクトなど、やや画竜点睛を欠くきらいがなきにしもあらず(エラソウニ^^;)なんて思わないでもなかったけれど、2019年製はなかなか気合の入ったできだったような気がする。それでもまったく同じ木目というわけにはいかないのだけれどね。

 出来立てのほやほやの2019年製は、製作の過程をまとめたビデオも上映されていて、これがたいへん面白かった。螺鈿に使った貝は夜光貝だったんだな。私も白蝶貝を切り出してバンジョーのインレイを修復したことがあったりするので、何をやっているかはだいたい見当がついた。驚かされたのは、ベッコウ(玳瑁)の透明な部位に裏から彩色をする手法のほうだ。てっきりメノウのような色のついた玉石を使っているのかとばかり思っていたので。

 1899年製のレプリカは、もう1本、螺鈿紫檀阮咸(げんかん)も展示されていた。阮咸は、月琴によく似た撥弦楽器で、変形の琵琶と考えてもいいかもしれない。こちらのバック側には、やはり貝細工の細かいインレイで、オウムの姿が描かれていた。

 最後にちょっとした疑問。螺鈿紫檀五弦琵琶のトップには虫食いの痕のような三日月形の小さなサウンドホールが開けられている。あれだけめったやたらにインレイを入れまくったにも関わらず、なぜサウンドホールの周りには何も装飾を入れなかったんだろう?

2019年5月19日 (日)

筋肉痛はハンドクラフトギターフェスのせい?

 昨日の午前中は、家の周りの草むしり。暑くてそこそこバテたけれど、ゆっくり休んでいるわけにもいかない。土日は手工ギターの祭典、ハンドクラフトギターフェスの開催日なのだった。やっぱこれをスルーするわけにはいかんじゃろと、錦糸町のサンライズホールに向かう。

 今年はブースの数が増えたようで、さらにヒートアップ。ギターやウクレレが多いのは当然として、マンドリンの出品が多かったのが個人的にはうれしかった。Fタイプ、Aタイプ、オリジナル・デザインの変形モデル、ソリッド・ボディのエレクトリック、ナポリ・スタイルのボウルバック……など。よし、全モデルを試奏するぞ!とはりきったのはいいけれど、順番待ちの人気にめげて、一部のマンドリンは断念することに……。

Solidmand

 ありがたいことに、そんな私の様子を染村哲也さんが撮影してくださったので、いただいた写真を貼り付けておく。これはTomihara Mandolin Craftのエレクトリック・マンドリンを弾いているところだと思う。

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 こちらの写真はマンドリンじゃなくて、岩下寛さんのアーチトップ・ギター(L-5風)だけど、これもなんだかんだで試奏の機会を逸して残念…… 。

 とはいえ思った以上につかれていたようで、家に帰ってぐったり寝込んでしまったから、無理しないで正解だったのかも。今朝起きると全身が筋肉痛でしんどい。おそらく試奏のしすぎではなくて、草むしりがたたっているのだろうが……。

 実はWOWOWのボクシング中継を見るために、今朝は未明の内に起きるつもりだったのだが、ちょっぴり寝過ごしてしまった。さすがに4時半起きはつらい……。

 ボクシングを見たあとで朝食。それから庭木の剪定。ハニーサックルのつるが伸びすぎて、通行のジャマになっているようなので、チョキチョキと。花芽を落とすのはもったいないけれど、おかげでだいぶすっきりした。

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 こちらが剪定前。

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 そして剪定後。なんだかんだであわただしい週末であったことよ。

2019年4月21日 (日)

フィドルの新しい肩当て

 しばらく前にフィドルの肩当てをなくした。これで二度めである^^;

 なければないでなんとかなるような気もしてそのままにしてあったのだが(そもそも肩当てが考案されたのは20世紀に入ってから。顎当てですら1820年頃まではなかったという)、やはりこの歳で演奏スタイルを変えるのもめんどうだ。買い直すとしたら、これまで使っていたスタンダードなKUNがいいかな? それともほかにいいものが? --と思案していたら、バイオリン製作家の菅沼利夫さんに「Everestというのがあるよ」と勧めていただいた。

 調べてみるとなかなかよさげである。値段も手ごろなので、EZ-4AというモデルをAmazonでポチっとやってみた。

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 送料無料で2,376円。パッケージには「カリフォルニア、USA」と書いてある。

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 プラスチックの本体 にスポンジのついた構造で、かなりがっちりした作りだ。むしろKUNよりも高級感があるようにさえ見える。KUNのように長さをアジャストする機構はないけれど、おかげでセットする位置が動かせないため(決まった場所以外には付けられない)、どのようにセットするか悩まなくていい。実際に取り付けて弾いてみたら、なるほどベスト・ポジションだった。以前はもっと斜めに取り付けていたのだが、はっきり言ってこちらのほうが弾きやすい^^;

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 フィドルに接する部分もプラスチック製で、バックの板をがっちりとホールドする形になっている。ゴムで可塑性のあったKUNに比べると、演奏中に外れる心配は少なそうだ。そのぶん楽器の塗装を傷つけないかどうかちょっと気になるところだが、まあ、もともとボロい中古楽器だから、そんなに気にすることもないだろう。そんなこんなで、わりといい買い物だったんじゃないかな?

2019年1月17日 (木)

エンケン大博覧会!

 東京・原宿にあるファッション・ブランド、ビームスのアンテナ・ショップ。その3階のトーキョーカルチャートで開催中のエンケン大博覧会に行ってきた。遠藤賢司さんのデビュー50周年を記念したイベントだとかで、愛用のギターやアンプ類はもちろん、ステージ衣装、レコード、ポスター、その他の私物まで、ありとあらゆるエンケン・グッズが展示されていた。

 写真を撮ってもかまわないかお聴きしたところ、「どうぞご自由に」ということだったので(なんとまあ、心の広い!)、そのときに撮影した画像を貼り付けておく。

Enken1

 おなじみのギターたち。マーティンはD-35のほかに、D-18と00-21。グレッチはホワイト・ファルコンが1本、ロック・ジェットが2本。ヤマハFG(-180?)が4本。アコギの多くには、すさまじいピック・スクラッチの痕が生々しく残っている。

Enken2 Enken3

 アンプ類は、わりと新しめなオレンジと、年季の入ったフェンダー・スーパー・リバーブ&バイブロラックス・リバーブ。そしてステージで背中に担いでいたローランドのキューブ。

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 ハーモニカ、ピック、カポなどをまとめた小物入れ。なんかカッケー! キンカンも入れてたのね。

Enken5

 ステージ衣装もたくさん並べられていた。フリンジのついたカウボーイ風のジャケットも、パッチワークだらけのジーンズも、なんか見覚えある……。

 エンケン大博覧会は、1月23日までの開催だそうな。入場無料でもあるし、お時間の許す方は一度覗いてみられてはいかがだろうか?

  https://www.beams.co.jp/news/1298/

2018年10月21日 (日)

楽器フェア2018

 防水シートの貼り替えの準備で、ヘロヘロの週末。かろうじて金曜日に楽器フェアには行ったものの、あとはひたすらベランダの片付けで終わった^^;

 楽器フェアはいつもどおり楽しかったけれど、ギブソン、フェンダーの姿が見られなかったのが、やや残念。以下、アコギのみにしぼって、写真を何点か貼り付けておく。

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 老舗の弦楽器メーカーでは、マーティンが一人気を吐いていたような。写真のモデルは、D-200デラックス。

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 エレアコ系のテイラー、タカミネあたりは、かなり力の入った展示。主力モデルがズラリと並んでいた。

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 アメリカの有名楽器店、エルダリー・インストルメンツが企画して、中国で生産しているというオールド・ギブソン・タイプのFarida。

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 ヘッドウェイやギルドの展示も目立っていたのがうれしい。こうしたブランドに郷愁すら感じるのは不思議だな。

 メインの展示とは別に、回を重ねるごとに存在感を増しているように思えるのが販売エリア。今回はショッピングモールに加えて、フードコートがやけに充実していたような……。

2018年9月21日 (金)

天使の領分

 今年の夏の日記に、こんな写真を貼った。

Angel1

 東池袋の住宅地で見かけた、フラットバックのマンドリン風の楽器を弾く天使の像である。

 つい先日も、同じような像の写真を何点か撮った。その気になって歩いていると、いろんなところで、彫像や塑像に出くわす。こちらはそのうちの1枚で、ギターとバイオリンをミックスしたような擦弦楽器を弾いている。撮影場所は北区西ヶ原。

Angelfiddle

 サウンドホールのデザインが、なかなか面白い。弦の数は4本に見える。作者はバイオリンのつもりで作ったのかもしれない。絵画や彫刻などでも、いいかげんな形の楽器はけっこうあるからな。個人的には、こういう斬新なデザインは嫌いじゃないよ。

 ちなみに「folk fiddle」でネット検索すると、いろいろ変わった擦弦楽器が出てきて面白い。興味のある方はお試しあれ。

2018年5月20日 (日)

ハンドクラフトギターフェス2018

 なんとか時間を作って、錦糸町のハンドクラフト・ギター・フェスに行ってきた。ゆっくり書いている余裕がないため、とりいそぎ写真のみ。

Daisaku

 DAISAKU GUITARSのオシャレなバロック・ギター。とても不思議な音がした。個人的にこういう複弦のトラディショナルな音は大好き。

Harpguitar

 Pellerin Guitarsのハープ・ギター。マイケル・ヘッジスみたいなプレイができるかな?

Sunami

 Sunami Guitarsのブースで見つけたマーティン風のマンドリン。

Prewar

 噂のプリウォー・ギター。見た目もサウンドも、ほんとに戦前のマーティンみたいだ!

Mugendo

 100年前の座椅子の材で作ったという夢弦堂の紫檀のウクレレ。

Songbird

 出ました! マンドリンとギターのダブルネック・ギター。ソングバードは前にもエレクトリック・マンドリンを作っていたはず。マンドリン側のピックアップは、テスコのエレギ用だそうな。

2018年3月 8日 (木)

ドブロにしてドブロにあらず?

 1970年代初め頃の日本のフォーク・シーンでは、ドブロと言えばメタル・ボディの楽器--というイメージのほうが主流だったような気がする。

 加藤和彦さんがメタルのドブロを使っていたのが大きかったかもしれない(吉田拓郎さんの「結婚しようよ」でその音が聴ける)。石川鷹彦さんのドブロもメタル・ボディだったはず。

 OMI(ドブロの創業一族が興した会社)がドブロ・ブランドを買い戻し、本来のウッド・ボディの楽器に加えて、ナショナル・タイプのメタル・ボディの楽器を作るようになったのが71年以降のはずなので、ちょうど時期が重なったということか。もしかしたら、当時の販売代理店(モリダイラだったかな?)が、メタル・ボディのモデルに力を入れていた可能性もあるかもしれない。

 このイメージが後々まで残っていたようで、私もメタル・ボディのドブロを手に入れたことがある。

Dobro01 Dobro02

 モデル名は33D(おそらく)。ボディ裏に「D」の文字がエッチングで刻まれている(加藤和彦さんのモデルは「D」なしの33)。14フレット・ジョイントのナショナルっぽいシェープだが、ペグヘッドにはドブロのロゴがしっかりと。

Dobro03

 ボディ上部のfホールはナショナル風。カバー・プレートはドブロ風と、両者のハイブリッドなデザインになっているところが面白い。

 離合集散を繰り返すドブロとナショナルの複雑な関係については、土曜日のイベントでも少し触れようかと思っているので、興味ある方はぜひお出かけください。--以上、しつこく宣伝でした^^;

2017年12月 1日 (金)

アコースティック・ギブソン・3デイズ

 ギブソンの2018年アコギ・ニュー・モデルはいいぞ~!

 石橋楽器店が主催するアコースティック・ギターのイベント「トーキョー・アコースティック・ギブソン・3デイズ」が、池袋のパルコ本館7階で今日からスタートした。雨も上がったことだし、ウォーキングも兼ねて様子を見に行ってきたよ。

 てっきり、お店のあるパルコ2が会場かと思っていたら本館のほうだったので、少しあせったけれど、大過なし^^; 7階のイベントスペースを埋め尽くすように、ギブソンのアコギが並んでいる。はっきり言って、想像以上の規模で驚いた@@;

 いつもお世話になっている石橋楽器の白井英一郎さんがいらっしゃったので、まずはご挨拶。それから2018年モデルを試奏させていただいた。ビンテージ・スタイルのJ-45とハミングバード。今回のリニューアルでは、塗装を薄めにしたそうで、手に持った印象はたいへん軽かった。そしてびっくりするくらいよく鳴る。

 とくにJ-45はパワフルで、レスポンスも最高だった。しかもトップの板はアディロンダック・スプルースだという。絵葉書をいただいたので、参考までに写真を貼り付けておく。おそらくこのモデルであっていると思う。

Gibsonpostcard

 ハミングバードのほうは、やや繊細というか、歌の伴奏向きのサウンド。弾き語りに適した音量のギターだった。こちらのトップ材はシトカ・スプルースだという。

 どちらも、ギブソンの本気度がよくわかるよいギターだと思う。2018年のギブソン・ニューモデルは刮目して見るべし!

 なお、2日(土)は午後3時から泉谷しげるさんのトーク&ライブ、3日(日)は午後2時から2018年モデルのプレゼンテーション、午後3時からジャクソン・ブラウン来日公演の機材を語りつくすイベントなどが予定されている。ジャクソン・ブラウンの機材の解説は白井さんが担当するそうで、「来てね」と念を押された。なんか3日間とも通うことになりそうな予感……。

2017年5月20日 (土)

ハンドクラフトギターフェス2017

 暑さにも負けず、きつい日差しにも負けず。今年も錦糸町のハンドクラフトギターフェスに行ってきた。出展ブースも多く、ずいぶんと盛況のようにお見受けした。

 写真を中心に、とりあえずの速報。

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 Hattaのマンドリン。とくに右側の3ポイントのF-4風のモデルが気に入った。ブルーグラス向きの音ではないけれど、オープンコードが気持ちよく鳴るよい楽器だと思う。もっとこういうマンドリンが注目されてもいいのではないか。

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 Keystone Stringed Instrumentsの意欲作。フローティングのブリッジにテールピースというアーチトップ風のデザインながら、ボディはほぼフラットトップの構造のまま。サウンド的には両者の中間……というか、ややフラットップよりか? ちょっと爪弾いたらものすごい大きな音がして驚いた。とくに低音の鳴りは特筆ものだ。個人的にはいちおしのギター。

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 おなじみ夢弦堂。000サイズのカッタウェイが入ったギターは、マホガニー・ボディで、とくにハイポジションの鳴りがすばらしかった。となりのウクレレは珍しい黒柿材を使ったモデル。ソフトなトーンできれいな音がした。

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 あっと驚く琵琶型のウクレレ。音はいたってフツーだった。面白い発想をする人がいるもんだ。

 写真を撮りそびれてしまったが、SUMI工房の新しいデザインのモデルもよかった。3つ並んだサウンドホールがユニークで、バック&サイドは玉目のメイプル。パワフルな音でコードカッティングに抜群の切れ味を発揮する。

 ウクレレでは、エゾマツをボディに使用したEzo's Ukuleleもいい音だった。

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