音楽

2021年4月 1日 (木)

高田渡を語るイベント

 3月31日(水)午後6時半より、渋谷ロフト9で『サエキけんぞうのコアトークvol.91 なぎら健壱と高田渡を語る』。なぎらさんの新刊『高田渡に会いに行く』(駒草出版)の発刊に合わせたトークイベントということで、今年になって初めての渋谷詣でとしゃれこんだ。

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 駅前のスクランブル交差点はそこそこ混雑していたものの、コロナ以前ほどではなく、いささか拍子抜け。なんだかんだでみなさん自粛を続けていらっしゃるようである。善哉。

 サエキけんぞうさんとなぎら健壱さんの対談となれば、話がはずまぬわけがない。いつもはつっこみ役のサエキさんが逆につっこまれてタジタジとなる場面も多く、このやりとりがなかなか面白かった。

 なぎらさんは終始ギターを抱えつつ、話題に上った曲をその場で弾き語る。高田渡さんの歌はもちろんのこと、高石ともや、岡林信康、丸山明宏(三輪明宏)などの歌まで、よどみなく次々と。あらためて思い知らされたけれど、この人はもう日本のソングスターと称されるべき存在なのかもしれない。それこそミシシッピー・ジョン・ハートやレッドベリーのように。

 そんなこんなで、高田渡さん本人も長い間歌っていなかったという「三億円強奪事件の歌」や「自衛隊に入ろう」を、私はこの日初めて生で聴くことができた。

 もうひとつ興味深かったのは、歌のオリジンに関する話。高田渡さんが古い歌のメロディを借りてきて、それに別の歌詞を付けていたのはよく知られているところだけれど、その元にした歌にもさらに元ネタがあったという事実を、これも実演を交えて解説してくれた。

 例に挙げられたのは、「流浪の旅」→「虱の唄」→「しらみの旅」という流れ。まず大正時代のはやり歌「流浪の旅」に、演歌師の添田唖蝉坊がオリジナルの歌詞をつけて「虱の唄」という替え歌にした。さらにこの歌詞を見つけた高田渡さんがカーター・ファミリーの「Wabash Cannonball」のメロディを持ってきて「しらみの旅」としたと。典型的な伝承歌の変遷のパターンと言っていいだろう。2人の人物のフィルターを通しただけで、元の歌の歌詞もメロディもなくなってしまったのがすごい。

 丁々発止のトークは2時間ほどで終了。完結には至らなかったため、近いうちにまた続編が企画されそうだ。ところで会場には、高田渡さんにゆかりの(そしてなぎらさんの著書での対談相手でもある)高田烈さんや、高田富美子さんもいらしていた。高田富美子さんとは麻田浩さんのイベント以来だったけれど、帰り際にご挨拶できてめでたし。

2021年3月 6日 (土)

来週はマーク・オコーナー特集

 3月5日(金)午後5時より、麻布十番のスタジオでFMラジオ「A・O・R」の収録。今回のお題はマーク・オコーナー。何を弾かせても達人級というマルチ弦楽器プレイヤーではあるけれど、とりあえずフィドル/バイオリンに絞って話をまとめることにした。

 オフィシャル・サイトやWikipediaを見ても、クラシックのバイオリニストとしての経歴がメインで、楽器コンテストを荒らしまわって(?)タイトルを総なめにしていた少年時代や、グリスマンのバンドのメンバーだった頃や、ナッシュビルのセッションマンとしての活躍などの話は、さらっと流されている感じなので、逆にそちらのほうにスポットを当てた内容にしたつもり。

 私が最初にマーク・オコーナーの存在を知ったのは、『カントリー・アンド・ウェスタン』誌Vol.82(1977年)に掲載されていた中田伏雄さんのコラム「ブルーグラス今昔」だったように思う。この記事の内容が衝撃的で、「こんなものすごい男の子がいるんだ~」と感心したことは、いまでもはっきり覚えている。そんなわけで、今回もこちらの記事をおおいに参考にさせていただいた。

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 放送は3月11日(木)午後8時より。電波の届く地域の皆様はぜひお聴きくださいませ。

2021年3月 3日 (水)

ライ・クーダー特集のオンエアリスト

 去年の12月24日(木)に放送されたFMラジオ「A・O・R」の特集「ライ・クーダーplaysマンドリン」の音源をやっと聴くことができた。

 いまさらではあるけれど、番組のサイトにアップされていた当日のオンエアリストが間違っていたようなので、ここで訂正させていただく。

 まず、私のほうで訂正を加えた当日のオンエアリストは、以下のとおり。

  20:02 Boomer’s Story / Ry Cooder
  20:09 Chloe / Ry Cooder
  20:16 France Chance / Ry Cooder
  20:19 Billy The Kid / Ry Cooder
  20:22 Straight Street / Ry Cooder
  20:29 By And By(Poor Me) / Rising Sons
  20:38 Hobo’s Lullaby / Joan Baez
  20:42 Fool For A Cigarette~Feelin’ Good/ Ry Cooder
  20:46 Moani Ke’Ala / The Gabby Pahinui Hawaiian Band
  20:49 Stealin’ / Arlo Guthrie

 オフィシャルのリストには、ライジング・サンズの「By And By(Poor Me)」とジョーン・バエズの「Hobo’s Lullaby」の間に、ライ・クーダーとは関係ない曲が入っているけれど、音源をチェックした結果、この曲が放送されていないことを確認した。1曲抜けた分、放送時間もズレてきそうな気がするものの、オフィシャルのデータをあまりいじくるのもよくないと思うので、そのままにしておく。

 ソロ・アルバムを中心に、セッションでマンドリンを弾いている曲もいくつか混ぜてみたが、時間の関係等で、ローリング・ストーンズやノーマン・グリーンバウムが選から漏れてしまったのは、ちょっと残念……。

 この選曲にあたって、ライ・クーダーの音源をまとめて聴き返してあらためて思ったけれど、この人はほんとにマンドリンが好きみたいだ。ほとんどのアルバムでマンドリンの音が聞こえるし、マンドラやマンドセロも使っているし。

 ライ・クーダーとマンドリンの関わりの話は、こちらのブログでもちょこっと書いたので、興味のある方はそちらもご覧ください。

2020年11月24日 (火)

聴かずに死ねるかトリオ再結成?

 神保町リットーミュージックで、久々に麻田浩さんとお会いする。編集の坂口和樹さんも加わると、『聴かずに死ねるか!』のプチ同窓会のような気分だ。あの本を作ったときはいろいろドタバタしてたいへんだったな~……と遠い目。

 今回は『聴かずに死ねるか!』とは直接関係ない別件の取材。日本のフォーク史に絡めて、先人の苦労話をうかがおうという趣旨だ。以前から麻田さんにお聞きしたいと思っていたフォーク・ジャンボリーの顛末や、高田渡さんのロサンゼルス・レコーディングの話などがうかがえて、個人的には満足。

 せっかくの神保町なので、ちょっと足を伸ばして、書店と楽器店を見て回る。それにしても急に寒くなったね~。

 

2020年10月30日 (金)

I am a poor wayfaring stranger...

 麻布十番のスタジオで、午後2時からFMラジオ「A・O・R」のコメント収録。

 本日のお題はリチャード・グリーン。ブルーグラスからロック、ジャズ、クラシックまで、なんでもござれのフィドラーだ。70年代のシンガー・ソングライターや、ウェストコースト・サウンドのフィドルといえば、この人とバイロン・バーラインでほぼ決まり--という感じの売れっ子セッションマンでもあった。日本でも熱心なファンがたくさんいたっけな。

 そんなこんなで、ブルーグラス・ボーイズ、ジム・クエスキン・ジャグ・バンド、ミュールスキナー、ロギンス&メッシーナ……など、これまでのキャリアをたどりながらいろいろかける予定。もちろんセッションワークも含めて。

 収録終了後は、久々に神保町へ足を延ばして、書店と楽器店を視察。あまりにごぶさたしていたもので、なんとなくストレンジャーになったような気分がした。やっぱり家に閉じこもってばかりではいかんな~……。

 そんなこんなで、放送は11月5日(木)午後8時から。どうぞよろしくお願いします。

2020年10月 9日 (金)

エキスプレスの時代

 雨の日が続いて、絶賛引きこもり中。よい機会なので、ほったらかしてあった取材テープ(といってもデジタル・ファイルだけれど)の整理などをする。日本のフォークの黎明期の話がなかなか面白い。

 70年代以前の日本のフォークのディレクターと言えば? 「東芝がカレッジ・ポップスでいちばん売れてる人たちをやっていた」「だから高嶋弘之さんだろう」「だってザ・リガニーズもそうだったし」「それにニッポン放送とバイタリス・フォーク・ビレッジでつながっていた」……ふむふむ。

 高嶋弘之さんと言えば、ビートルズを日本で売り出した人として知られる。ビートルズのあとはフォーク・クルセダーズや、ザ・リガニーズを担当したそうな。バイタリス・フォーク・ビレッジに関しては、麻田浩さんといっしょに本を作ったときに、いろいろお話をうかがったっけ。あれも東芝がらみだったのか……。

 そういえば、高校生の頃に東芝のフォーク全集を買ったことがあったような。そんなことを思い出して、段ボールの中をガサゴソと探っていたら見つかった。『ニュー・フォーク大百科事典』(Express)。LP3枚組のアンソロジーだ。3枚組で3000円と安価だったから買う気になったに違いない^^;

Expressfolk

 収録されているミュージシャンは、(記載順に)はしだのりひことクライマックス、トワ・エ・モア、加藤和彦、北山修、赤い鳥、ジローズ、シュリークス、はしだのりひことシューベルツ、ロック・キャンディーズ、キャッスル・アンド・ゲイツ、フォー・セインツ、黒沢久雄、遠藤賢司、浅川マキ、ザ・フォーク・クルセダーズ、ザ・リガニーズ、ジャックス。

 収録曲は、「帰って来たヨッパライ」「悲しくてやりきれない」「青年は荒野を目指す」「海は恋してる」「若者たち」「小さな日記」「あの素晴らしい愛をもう一度」「戦争を知らない子供たち」「家をつくるなら」「不思議な日」「竹田の子守歌」「翼をください」「河」「忘れていた朝」「風」「花嫁」「誰もいない海」「或る日突然」「夜が明けたら」「ほんとだよ」「からっぽの世界」……。

 なるほど、東芝がフォーク・シーンを牽引していた時代があったことがよくわかるラインアップだ。URCやベルウッドへと至る道とは、かなり距離がある気もするけれど……。

 残念なことに、レコーディング・データはまったく記載されていない。おまけにレコードの発売年もわからない。唯一の情報は、「Director:K・NITTA」のひとことだけだ。おそらく新田和長さんのことなのだろう。

 新田さんのお名前は、取材テープの中にも出てきた。ザ・リガニーズのメンバーで、バンド解散後は高嶋弘之さんに誘われて、東芝音楽工業に入社。オフコース、赤い鳥、RCサクセション、トワ・エ・モワ、加藤和彦、北山修、はしだのりひこなどを担当した。このアルバムの収録曲の多くも、新田さんが手がけたものだと思われる。

 レコードの発売年は……。社名が東芝音楽工業で東芝EMIではないところを見ると、73年10月以前。チューリップや荒井由実が入っていないということは、71年、あるいは72年まで絞れるかもしれない。

 エキスプレスは、東芝の中で、歌謡曲的ではない新しい音楽の道を志向した社内レーベルだったのだと思う。キングレコードから分かれたベルウッドのように、よりインディーズ的な方向に進む可能性もあったのかもしれないけれど、結局そこまで徹底はできなかった印象だ。

 さて、このレコードについてはこれくらいにして……。次はあがた森魚さんの講演テープでもチェックしてみようかな?

2020年9月 9日 (水)

ベラ・フレック特集のオンエアリスト

 今回はずいぶん早く音源が手に入った。9月3日(木)にFMラジオ「A・O・R」で放送されたベラ・フレック特集の音源である。

 番組のサイトで公開されたオンエアリストは以下のとおり。

  20:02 Up And Running / Bela Fleck
  20:09 Zona Mona / Bela Fleck & Flectones
  20:17 Oma And Opa / Bela Fleck & Tony Trischka
  20:21 On The Boulevard / New Grass Revival
  20:27 Just Because / Jorma Kaukonen
  20:31 Woolly Mammoth / Bela Fleck & Edgar Meyer
  20:39 Crossing The Tracks / Bela Fleck
  20:42 Deviation / Bela Fleck
  20:46 Atlantic Bridge / Davy Spillane

 ニュー・グラス・リバイバルが1曲、フレクトーンズが1曲、ソロが3曲、セッション・ワークが2曲、コラボが2曲(?)……と、それなりにバランスをとったつもりではある。トニー・トリシュカとのコラボは、2人がソロを持ち寄ったアルバム『SOLO BANJO WORKS』からのものなので、実質ソロ・ワークと言ってもいいのだが……。

 最初の選曲リストから漏れたのは、アフリカ各地でのジャム・セッションの様子をまとめた『THROW DOWN YOUR HEART』所収の「D'Gary Jam」。そしてチック・コリアとのデュオ・ライブの模様をまとめた『TWO』の「Senorita」。長い曲が多いから、全曲かけるのは無理だろうとは思っていたけれど、結果的にチック・コリアとのデュオが、エドガー・マイヤーとのデュオに負けたような形になったのは興味深い。まあ、ピックアップした曲同士を単純に比較すれば、「Woolly Mammoth」のほうが面白かったかもしれないな、とは思う。

 数あるセッション・ワークの中から、ヨーマ・コウコネンとデイビー・スピラーンを選んだのも難しい決断だったが、この2曲のプレイはほんとうに信じられないような名演なので、個人的には満足している。

 --というところで、以下は前回に続いてベラ・フレックとの個人的な思い出。

 スペクトラム解散後のベラ・フレックが、ニュー・グラス・リバイバルに加入したのは以前にも書いた。このニュースを耳にしたら、ベラさんの加わったNGRのライブを実際に体験したくなるのは人情というものだ。「カリフォルニアのストロベリー・フェスに出演するらしいぞ」と佐々木仁さんにそそのかされ、当時勤めていた出版社の仕事をさぼって見に行った。実はこのときがNGRのライブの初体験だったのだ。やはりフェスで見られたのは貴重な体験だった。それまでは座ったり、寝っ転がったりと、くつろいだ様子でステージをながめていた観客が、NGRの演奏が始まったとたんに、いっせいに立ち上がって踊りだしたのには、ぐっとくるものがあった。

 大阪(京都だったっけ?)のマップスさんが彼らを日本に呼んでくれたのは、そのちょっとあとのことだった。このときは読売ホールと日本教育会館ホールでじっくり見ることができた。すっかり忘れていたけれど、このときもサインをもらっていたんだな。フランスで発売されたライブ盤の裏ジャケットに。

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2020年8月29日 (土)

ベラ・フレックとの個人的な思い出など^^;

 去年からず~っと伸ばしっぱなしにしていた髪を切った。

 前から切りたいとは思っていたのだけれど、コロナ騒ぎでなんとなく行きにくい空気が生まれ、そうこうするうちにお店が「完全予約制」などと言いだしたこともあって、めんどくさくなってほっぽってあったのだ。とはいえ、長くなったらなったで、それもまためんどくさくはある。しょうがないから覚悟を決めて電話を入れたーー;

 そうして髪を切ったのが昨日の午前中。夜は麻布十番のスタジオへ。「A・O・R」ベラ・フレック特集の収録である。当代一のバンジョー・プレイヤーとして、知らない人がいないような存在かと思っていたら、「ベラ・フレックを1時間丸ごとかけるなんて、おそらくこれまでなかったでしょう」とスタッフ氏に言われて、なるほど日本ではそれくらいの認識なのだな……とあらためて感心させられた。

 肝心の選曲だが、今回はかなり苦戦した。カバーするジャンルが多岐に渡りすぎていて、たかだか1時間枠では、とても網羅できそうにない。実際にセレクトしてみたら、ブルーグラスがほとんど入らなくなってしまった^^; ドレッドフル・スネイクスなども候補には挙げてみたのだが、ほかの曲と並べてみると、なんだかおさまりが悪いのだね。しかたがないので、思い切ってバッサリやった(すみません!)。結局ブルーグラス関連は、ニュー・グラス・リバイバルが1曲入る程度になりそうだ。ついでに言うと、フレクトーンズも1曲だけ。まあ、NGRやフレクトーンズのメンバーがバックを務めているソロ曲は入る予定だけれど。

 エレクトリック・バンジョーも、ほとんどの聴取者にはエレクトリック・ギターにしか聴こえないだろうということでカット。あのコンビの曲もカット。このコラボもカット……とめったやたらと切りまくることになってしまった。

 そんなに切って何が残ったかというと……その答は本番までのお楽しみ。放送は9月3日(木)午後8時からの予定です。放送枠のあるFM局の一覧は、「A・O・R」のサイトなどをご覧ください。

 --というところで、以下余談。今回、あらためてベラ・フレックの経歴について確認していたら、若い頃の話を思い出してしまった。これまでどこにも書いたことはおろか、話したこともなかったけれど、そろそろ時効でいいだろう^^;

 ベラ・フレックの初来日は、1981年。このときはブルーグラス・バンド、スペクトラムのメンバーだった。当時の私はまだサラリーマンで、ひたすらコンピュータのプログラムを書く毎日だったのだが、すでに退社してブルーグラス・リバイバル誌の編集者になることが決まっていた。その関係で、編集長の佐々木仁さんからお声がかかり、スペクトラムの東京公演の裏方をさせられることになった。彼らの招聘をしたのが、リバイバル誌……というか、ジューンアップルだったもので。

 たしか会場は日仏会館だったと思う。ベラ・フレックはまだ23歳くらいだったはずだが、すでにバンドのサウンド面をリードするような存在だった。バンジョーのテクニックも、早くも完成の域にあった。

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 そのときにサインしてもらったソロ・アルバムがこちら。当時は書き損じかと思っていたが、その後、ファースト・ネームの「e」の上には「’」が付いていることを知って、遅ればせながら納得した。これで正しいんだ! ハンガリー系(マジャール語)の名前のようである。だとすると、本来の発音は「ベーラ」なのかな?

 サインをもらってそれっきりかと思っていたら、全ツアー終了後にもう一度会う機会があった。このときは「いまから来られるか」と電話で仁さんに言われ、会社からスーツ姿のまま駆け付けたのだった。スペクトラムの離日前に夕食の接待をするとかで、私にも会わせてやろうと配慮してくださったのだと思う。

 最初に入ったバー(知り合いのお店のようだった)で、ベラ・フレックがエレクトリック・ギターを手に取ってビートルズ・ナンバーを演奏し(歌なしの「Yesterday」だったかな?)、仁さんが「Kentucky waltz」を歌ったのを覚えている。そのあとレストランで食事をするなどいろいろあって、最後は池之端の高級クラブに行くことになった。私にとっては生涯初の(そして最後の?)クラブ体験である。メンバーが大はしゃぎする中、ベラ・フレックは隅っこのほうでおとなしくしていた。

 いちばん盛り上がっていたのは、リード・ボーカル、ギターのグレン・ローソンで、お店の女の子(たぶん二十歳そこそこ)をお持ち帰りしかねない勢いだった。女の子は英語がまったくしゃべれないらしく、私が通訳をさせられた^^; 女を口説く手伝いか~。私だってしゃべれないっちゅーのに。

 新加入のフィドルのジミー・マッティングリーは、実はまだ19歳だったらしいのだが、顔中を覆うようなひげ面だったので誰も未成年とは思わず、当然何のおとがめもなし^^; その風貌はともかく、酒を飲んではっちゃける姿はほんとにガキんちょそのものだった。

 ベースのマーク・シャーツは、哲人風というか、マイペースで飄々としていた。知的な雰囲気もあり、ちょっと好感を持った。

 そうこうするうちに、バンド内の空気がだいたい読めてきたのだが、ベラ・フレックとマーク・シャーツ組、グレン・ローソンとシミー・マッティングリー組とに分かれている感じで、その間にはなんとなくよそよそしい雰囲気が……。バンドの末期(もう解散が決まっていた)というのはこういうものなのかもしれないなと思った。

 リーダーでマンドリンのジミー・グッドローは、どちらにも組せずに超然としている印象だったけれど、身体はゴツくて、雰囲気はかなり怖かった。一度「うるさい」と後頭部をこづかれたりもした。……ということは、私もいつの間にやら個人的に盛り上がっていたのかもしれない^^;

 ともあれ、23歳のベラ・フレックはとてもシャイな感じで、一人静かに飲んでいた。いまにして思えば、グレンさんの通訳などしてないで、もっと話をしておけばよかった……。

2020年8月24日 (月)

クリス・シーリー特集をふり返る

 6月11日(木)JFN「A・O・R」午後8時より、クリス・シーリー特集。13歳のデビュー作から、いまをときめくパンチ・ブラザーズまで、マンドリンの音がてんこ盛りの1時間になったのではないかと思う。

 当日のオンアエリストは以下のとおり。

  20:02 I Should’ve Known Better / Nickel Creek
  20:09 Alex / Punch Brothers
  20:16 Shadow Ridge / Chris Thile
  20:19 Magpie / Aoife O’Donovan
  20:22 Attaboy / Yo-Yo Ma, Stuart Duncan, Edgar Meyer, Chris Thile
  20:30 Kid A / Punch Brothers
  20:37 This Side / Nickel Creek
  20:41 Familiarity / Punch Brothers
  20:46 Elephant In The Room / Chris Thile
  20:49 Rabbit In The log / Chris Thile & Michael Daves

 サラ・ワトキンスのボーカルをフィーチャーしたニッケル・クリークの曲から始まったのはまあいいとして、エンディングが、どブルーグラス(ギターとマンドリンのデュオだけど)というのは、なかなか大胆な……。これはこれで、意表を突かれて面白かったかもしれないけれど……。

 パンチ・ブラザーズの曲は長いものが多いため、ラジオ用に選曲するのは、けっこう苦労した。「Familiarity」は、3パートからなる10分半の大作で、全部はかからないだろうと思いつつ、しれっと選んでしまった^^; そのぶん、わりを食った形になったのがイーファ・オドノバンの曲で、せめてマンドリンのソロが出てくるところまでは入れてもらいたかったな~。

 ところで、次回の特集はバンジョーのベラ・フレックに決まった。楽しみではあるけれど、候補曲がものすごくたくさんありすぎるので、思い切ってばっさり切らないといけない。う~、これも難儀だな……。

2020年6月 6日 (土)

麻田さんの配信ライブ

 大事なことを書き忘れていた。

 6月4日(木)はラジオの収録のあと家に帰って、麻田浩さんとサエキけんぞうさんのインターネット・ライブ「生配信!パンク~ニューウェーブ徹底トーク」を見たのだった。「晴れたら空に豆まいて」からの中継で、例の『聴かずに死ねるか!』(リットーミュージック)の裏話。

Haremame21

 だいたい前にうかがっていた話が多かったけれど、「鮎川誠の新しいバンドをエルビス・コステロの前座に」とオファーがあったときに、「見た目がコステロにそっくりだから面白い」と思ったという話は初耳だった。じゃあ、最初からそう思って仕掛けたんだ!

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