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2020年10月 9日 (金)

エキスプレスの時代

 雨の日が続いて、絶賛引きこもり中。よい機会なので、ほったらかしてあった取材テープ(といってもデジタル・ファイルだけれど)の整理などをする。日本のフォークの黎明期の話がなかなか面白い。

 70年代以前の日本のフォークのディレクターと言えば? 「東芝がカレッジ・ポップスでいちばん売れてる人たちをやっていた」「だから高嶋弘之さんだろう」「だってザ・リガニーズもそうだったし」「それにニッポン放送とバイタリス・フォーク・ビレッジでつながっていた」……ふむふむ。

 高嶋弘之さんと言えば、ビートルズを日本で売り出した人として知られる。ビートルズのあとはフォーク・クルセダーズや、ザ・リガニーズを担当したそうな。バイタリス・フォーク・ビレッジに関しては、麻田浩さんといっしょに本を作ったときに、いろいろお話をうかがったっけ。あれも東芝がらみだったのか……。

 そういえば、高校生の頃に東芝のフォーク全集を買ったことがあったような。そんなことを思い出して、段ボールの中をガサゴソと探っていたら見つかった。『ニュー・フォーク大百科事典』(Express)。LP3枚組のアンソロジーだ。3枚組で3000円と安価だったから買う気になったに違いない^^;

Expressfolk

 収録されているミュージシャンは、(記載順に)はしだのりひことクライマックス、トワ・エ・モア、加藤和彦、北山修、赤い鳥、ジローズ、シュリークス、はしだのりひことシューベルツ、ロック・キャンディーズ、キャッスル・アンド・ゲイツ、フォー・セインツ、黒沢久雄、遠藤賢司、浅川マキ、ザ・フォーク・クルセダーズ、ザ・リガニーズ、ジャックス。

 収録曲は、「帰って来たヨッパライ」「悲しくてやりきれない」「青年は荒野を目指す」「海は恋してる」「若者たち」「小さな日記」「あの素晴らしい愛をもう一度」「戦争を知らない子供たち」「家をつくるなら」「不思議な日」「竹田の子守歌」「翼をください」「河」「忘れていた朝」「風」「花嫁」「誰もいない海」「或る日突然」「夜が明けたら」「ほんとだよ」「からっぽの世界」……。

 なるほど、東芝がフォーク・シーンを牽引していた時代があったことがよくわかるラインアップだ。URCやベルウッドへと至る道とは、かなり距離がある気もするけれど……。

 残念なことに、レコーディング・データはまったく記載されていない。おまけにレコードの発売年もわからない。唯一の情報は、「Director:K・NITTA」のひとことだけだ。おそらく新田和長さんのことなのだろう。

 新田さんのお名前は、取材テープの中にも出てきた。ザ・リガニーズのメンバーで、バンド解散後は高嶋弘之さんに誘われて、東芝音楽工業に入社。オフコース、赤い鳥、RCサクセション、トワ・エ・モワ、加藤和彦、北山修、はしだのりひこなどを担当した。このアルバムの収録曲の多くも、新田さんが手がけたものだと思われる。

 レコードの発売年は……。社名が東芝音楽工業で東芝EMIではないところを見ると、73年10月以前。チューリップや荒井由実が入っていないということは、71年、あるいは72年まで絞れるかもしれない。

 エキスプレスは、東芝の中で、歌謡曲的ではない新しい音楽の道を志向した社内レーベルだったのだと思う。キングレコードから分かれたベルウッドのように、よりインディーズ的な方向に進む可能性もあったのかもしれないけれど、結局そこまで徹底はできなかった印象だ。

 さて、このレコードについてはこれくらいにして……。次はあがた森魚さんの講演テープでもチェックしてみようかな?

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