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2020年10月

2020年10月30日 (金)

I am a poor wayfaring stranger...

 麻布十番のスタジオで、午後2時からFMラジオ「A・O・R」のコメント収録。

 本日のお題はリチャード・グリーン。ブルーグラスからロック、ジャズ、クラシックまで、なんでもござれのフィドラーだ。70年代のシンガー・ソングライターや、ウェストコースト・サウンドのフィドルといえば、この人とバイロン・バーラインでほぼ決まり--という感じの売れっ子セッションマンでもあった。日本でも熱心なファンがたくさんいたっけな。

 そんなこんなで、ブルーグラス・ボーイズ、ジム・クエスキン・ジャグ・バンド、ミュールスキナー、ロギンス&メッシーナ……など、これまでのキャリアをたどりながらいろいろかける予定。もちろんセッションワークも含めて。

 収録終了後は、久々に神保町へ足を延ばして、書店と楽器店を視察。あまりにごぶさたしていたもので、なんとなくストレンジャーになったような気分がした。やっぱり家に閉じこもってばかりではいかんな~……。

 そんなこんなで、放送は11月5日(木)午後8時から。どうぞよろしくお願いします。

2020年10月20日 (火)

切り株

 18日の夜はYouTubeでライブマジックのライブ配信を見た。中村まりさんと高田漣さんのセッション、ノーム・ピクルニー&スチュアート・ダンカン、濱口祐自さんの生演奏など。失念していて、もうちょっとで見逃すところだった^^;

 1ヵ月以上前のことになるけれど、いろいろ事情があって大きくなりすぎた庭の木を1本切った。気ままに植えて、都合が悪くなっては切らせてと、勝手なものだ。

Woodcut1Woodcut2Woodcut3

 当たり前のことだけれど、木が1本なくなるだけで見える景色はまったく変わる。

 

私が失ったものは
1本の樹ではなくて
1つの未来なのだ

重なりあう道
ほどけていく心
すくすくと伸びる若芽

夏の日差しを切り取る
くっきりとした影も
吹きすさぶ風を受け止める
たくましい枝も

真新しい墓碑のような
のっぺりとした切り株よ
鎮魂歌などいらない
私はただ待ち続けるだけだ

2020年10月14日 (水)

1001件め

 いま気づいたけれど、昨日書いた小学校時代の思い出話が、ちょうど1000件めの記事だったようだ。

 めでたいような、それほどでもないような……。

 まあ、これからもぼちぼちと更新していくつおりです。なにとぞよろしゅーに。

2020年10月13日 (火)

科学部と読書感想部

 私の通っていた区立の小学校には、高木先生という理科選任の先生がいた。理科の時間だけは担任の先生から教わらず、高木先生のいる理科室まで移動して指導を受けることになっていた。よその学校の事情はよく知らないけれど、一教科だけの先生というのは珍しかったのではないかと思う。

 高木先生は大学教授になれるような人なのに、小学生に教えるのが好きでずっとうちの小学校にいるのだ--と父兄の間ではもっぱらの噂だった。ご本人から聞いた話ではないので、真偽のほどはわからない。

 理科が好きになったのは、高木先生のおかげだったかもしれない。理科の時間だけでは物足りなくなって、クラブ活動でも科学部を選んだ。クラブといっても放課後にやる部活ではなくて、週に1回のカリキュラムに組み込まれた全員参加の授業だったのだけれど。

 科学部では、最初に高木先生が実験をやってみせてくれて、それからみんなでその実験を実際に体験した。これが楽しみで、毎週わくわくしながら待っていた。

 あるとき先生が、「来週はこれをやるから」と次回の予告編を見せてくれた。3色の液体をメスシリンダーの中に注ぎ込み、混ざらずに三層になったり、逆に混じって1色になったりするような実験だった。まるで手品みたいだ。

 どういう仕組みか自分なりに見当はついたけれど、はたしてそれが正解だったかどうか? 残念ながら先生の種明かしを見せてもらうことはなかった。胃潰瘍が悪化したとかで、突然入院して手術をすることになったと聞かされた。結局、私が卒業するまでに先生は戻ってこなかった。

 科学部の活動がストップしたため、所属していた生徒たちはほかのクラブに割り振られることになった。私を受け入れてくれたのは、読書感想部だった。本を読んで感想文を書くという、ただそれだけの、群を抜いてつまらないクラブである。快く引き受けていただいた身でありながら、こんなこと言うのは申し訳ないとは思う。でも、本を読むのは好きだったけれど、読書感想文を書くのは心底嫌いだった。

 読書感想部の担任は、やさしそうな女の先生だった。学級文庫の中から好きな本を自由に選んでいいと言われた。もう6年生も終わり頃だったから、面白そうな本はあらかた読んでしまっていたと思う。そもそも学級文庫に、そんなにたくさん本があるわけでもない。残った中から適当に見繕って、タイタニックのドキュメンタリーを手に取った。

 おおむね予想していたとおり、たいして面白い本ではなかったけれど、それでもタイタニックの事故に関する知識はこの本でひととおり覚えた。問題はすぐに本を読み終えてしまったことだ。読み終えたら感想文を書かなくてはならない。それが嫌で、それからの何週間かは、まだ本を読み終えていないふりをしつつ、同じところを何度も読み返してすごした。こうして感想文を書かずに、無事卒業の日を迎えることができたのは何よりだ^^;

 思えば、小学校から高校までを通して、読書感想文の書き方について教えてもらったことは一度もない(大学は理系だったのでしょうがないとして)。若い頃にちゃんと教えてもらっていたらよかったのにな--とCD評やら書評やらを書くのが日常のようになっているいま、本気でそう思う。小学校のときにメソドを身に着けていれば、少しは違ったんじゃないかな……なんて。指導要領ではどういう扱いになっていたんだろうね?

 タイタニックの事故を扱ったバラッドについて調べていたら、タイタニックつながりでいろいろつまらないことを思い出してしまった。なんにせよ、批評文や評論の書き方は、小中学校あたりで一度ちゃんと指導したほうがいいんじゃないかという気がする。

2020年10月 9日 (金)

エキスプレスの時代

 雨の日が続いて、絶賛引きこもり中。よい機会なので、ほったらかしてあった取材テープ(といってもデジタル・ファイルだけれど)の整理などをする。日本のフォークの黎明期の話がなかなか面白い。

 70年代以前の日本のフォークのディレクターと言えば? 「東芝がカレッジ・ポップスでいちばん売れてる人たちをやっていた」「だから高嶋弘之さんだろう」「だってザ・リガニーズもそうだったし」「それにニッポン放送とバイタリス・フォーク・ビレッジでつながっていた」……ふむふむ。

 高嶋弘之さんと言えば、ビートルズを日本で売り出した人として知られる。ビートルズのあとはフォーク・クルセダーズや、ザ・リガニーズを担当したそうな。バイタリス・フォーク・ビレッジに関しては、麻田浩さんといっしょに本を作ったときに、いろいろお話をうかがったっけ。あれも東芝がらみだったのか……。

 そういえば、高校生の頃に東芝のフォーク全集を買ったことがあったような。そんなことを思い出して、段ボールの中をガサゴソと探っていたら見つかった。『ニュー・フォーク大百科事典』(Express)。LP3枚組のアンソロジーだ。3枚組で3000円と安価だったから買う気になったに違いない^^;

Expressfolk

 収録されているミュージシャンは、(記載順に)はしだのりひことクライマックス、トワ・エ・モア、加藤和彦、北山修、赤い鳥、ジローズ、シュリークス、はしだのりひことシューベルツ、ロック・キャンディーズ、キャッスル・アンド・ゲイツ、フォー・セインツ、黒沢久雄、遠藤賢司、浅川マキ、ザ・フォーク・クルセダーズ、ザ・リガニーズ、ジャックス。

 収録曲は、「帰って来たヨッパライ」「悲しくてやりきれない」「青年は荒野を目指す」「海は恋してる」「若者たち」「小さな日記」「あの素晴らしい愛をもう一度」「戦争を知らない子供たち」「家をつくるなら」「不思議な日」「竹田の子守歌」「翼をください」「河」「忘れていた朝」「風」「花嫁」「誰もいない海」「或る日突然」「夜が明けたら」「ほんとだよ」「からっぽの世界」……。

 なるほど、東芝がフォーク・シーンを牽引していた時代があったことがよくわかるラインアップだ。URCやベルウッドへと至る道とは、かなり距離がある気もするけれど……。

 残念なことに、レコーディング・データはまったく記載されていない。おまけにレコードの発売年もわからない。唯一の情報は、「Director:K・NITTA」のひとことだけだ。おそらく新田和長さんのことなのだろう。

 新田さんのお名前は、取材テープの中にも出てきた。ザ・リガニーズのメンバーで、バンド解散後は高嶋弘之さんに誘われて、東芝音楽工業に入社。オフコース、赤い鳥、RCサクセション、トワ・エ・モワ、加藤和彦、北山修、はしだのりひこなどを担当した。このアルバムの収録曲の多くも、新田さんが手がけたものだと思われる。

 レコードの発売年は……。社名が東芝音楽工業で東芝EMIではないところを見ると、73年10月以前。チューリップや荒井由実が入っていないということは、71年、あるいは72年まで絞れるかもしれない。

 エキスプレスは、東芝の中で、歌謡曲的ではない新しい音楽の道を志向した社内レーベルだったのだと思う。キングレコードから分かれたベルウッドのように、よりインディーズ的な方向に進む可能性もあったのかもしれないけれど、結局そこまで徹底はできなかった印象だ。

 さて、このレコードについてはこれくらいにして……。次はあがた森魚さんの講演テープでもチェックしてみようかな?

2020年10月 4日 (日)

クリスタルな楽器

 夜中に見た夢。

 ギターを持って公園に行く。林の脇の空き地にしゃがんでギターを取り出したところで、音楽が聞こえてきた。公園の広場で野外コンサートが開催されているようだ。たくさんのミュージシャンが代わるがわるステージに立って、いろいろな音楽を演奏している。アパラチアン・ダルシマーとギターのデュオの演奏が始まった。歌はそんなにうまくないけれど、曲はなかなか面白い。ダルシマーのコードの響きもいい感じだ。

 曲の途中でギターの男が鍵盤楽器を弾き始めた。ハープシコードのような音だ。しばらく演奏をしてから、今度は巨大な雲形定規のような透明な板を抱えて立ち上がる。曲線になった辺縁部には色のついた突起がずらっと並んでいる。このふちの部分を四角い箱に付いた溝に当ててすべらせると、タラララ~ンとメロディが鳴る。オルゴールのような原理の楽器なのかな?

 誰もいないのにハープシコードの演奏は続いている。よく見ると液晶ディスプレイのついたデジタル・キーボードだったようだ。キーボードの自動演奏に合わせて、クリスタルの板を使ったかんながけのようなパフォーマンスも大忙し。溝に当てる位置が変わると、メロディも変わるようだ。

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