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2020年3月 2日 (月)

1922年以前のギブソン・アーチトップ

 アーチトップ・ギターの話をもうちょっと。

L2t

 この写真は1923年製のギブソンL-2。コンサート・サイズと呼ばれる13・1/2インチ幅のボディを持つ、ややコンパクトなアーチトップ・ギターだ。

 製作年についてフォローしておくと、1つ前の記事で「1922年製」と書いたのは私の記憶違いで、シリアルナンバーを確認すると23年製のようだ(元記事はすでに訂正済み)。ジョージ・グルーンによれば、アーチトップのL-2が製造されたのは、1902年~1907年、休止期間をはさんで1924年~26年--となっているけれど、実際の生産は23年末には始まっていたものと思われる。

 22年~24年のギブソンはロイド・ロア期と称されることも多い(私個人はこの呼称には否定的な見方をしているのだが、ここでは深く立ち入らない)。22年以前(1902年~21年)のギブソンのアーチトップ・ギターには、L-1、L-2、L-3、L-4などがあり、L-4が最上位モデル。L-2はミドル・クラスの楽器だった。1907年までのL-2には、スタンダード(12・1/2インチ)、コンサート(13・1/2インチ)、グランド・コンサート(16インチ)の3種類のサイズがあったようだが、その後コンサート・サイズに統一され、16インチ・ボディのL-4と差別化されることになる。

 この時期のモデルは、まだジャズ・ギターとは言い難い。やはりマンドリン・オーケストラのための楽器という印象で、サウンドホールも、マンドリンを思わせるオーバル(楕円)ホールや、フラットトップギター的なラウンド(円)ホールだった。いかにもジャズ・ギターらしいfホールが登場するのは、22年のL-5以降だ。

 ここで紹介したL-2も、やはりジャズ以前の楽器に分類すべきだろう。ボディ・サイズも小さめだし、サウンドホールもラウンドのまま。アジャスタブル・ブリッジ、トラスロッド・カバーなどは、22年以降のいわゆるロイド・ロア期の仕様に合致するものの、ピックガードはボディに直接ネジ止めする方式ではなくて、まだクランプで固定するタイプが使われているなど、以前の仕様も残っている。

Clamp

 オリジナルのピックガードもどこかに保管していたはずだが、見当たらなかったため、代わりにマンドリンのクランプ式ピックガードの写真を貼り付けておく。ボディから浮き上がったピックガードの様子がわかると思う。クランプには、「1911年7月4日」と特許取得の日付が刻印されているが、実際にはこのタイプのピックガードは1908年頃から採用されていたようだ。

L2b2

 カタログ・スペックではバックの材はメイプルとなっているけれど、実際に使われているのはバーチ(実はこちらが標準仕様)。うっすらとトラ杢も見える。

 L-2のモデル名は、その後フラットトップ・ギターに受け継がれることになる。ただし、L-0やL-1とは異なり、ボディはやや大きめに新しく設計し直された。名前は同じでも、そちらはまったく別のモデルと考えるべきだろう。

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