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2019年8月 2日 (金)

もう1つのルーツに迫ったアルバム

 「『WILL THE CIRCLE BE UNBROKEN(永遠の絆)』みたいなのをやりたかったんですよ」と、やぎたこのやなぎさん。

 先週の土曜日に小室等さんのライブを見に行ったときのことだ。たまたまやぎたこのお二人もいらしていて、CD2枚組の大作アルバム『WE SHALL OVERCOME』(Railway Records 2018)についてお聞きすることができた。

Yagitako

 やぎたこは、やなぎさん(ボーカル、ギター、バンジョー、フィドル、マンドリン)と辻井貴子さん(ボーカル、ギター、オートハープ、アパラチアン・ダルシマー、アコーディオン)のデュオである。てっきりアメリカン・ルーツ系の音楽ひとすじなのかと思っていたら、『WE SHALL OVERCOME』では、お二人のもう1つのルーツと言ってもいい日本のフォークに真正面から取り組んでいる。

 とにかくゲストの顔ぶれがすごい。いとうたかお、金森幸介、木崎豊、北村謙、佐藤GWAN博、シバ、豊田勇造、中川五郎、長野たかし、林亭、古川豪、村上律、よしだよしこ。URCやベルウッド、エレックなどで活躍した名だたるミュージシャンのみなさんが多数参加している。

 こうした大物ゲストを迎えたホストのやぎたこは、歌に伴奏をつけ、コーラスを入れ、インストのかけあいをし、ときには前面に出て歌い……と大車輪の大活躍をしている。まさにニッティ・グリティ・ダート・バンドの『永遠の絆』に匹敵するような一大セッション・アルバムと言っていい。

 古川豪さんは「アンクル・ピート」を、中川五郎さんは「受験生ブルース」を、林亭は「名古屋まで12キロ」をセルフカバー。アコーディオンやオートハープを加えた新たなアレンジが素晴らしい。

 北村謙さんをフィーチャーした「かみしばい」、いとうたかおさんの「この世に住む家とてなく」、ほとんど武蔵野タンポポ団のリユニオンのような「ミッドナイトスペシャル」も、フォークジャンボリーの頃から歌われ続けている懐かしい曲だ。クロウハンマー・バンジョーにダルシマーやマンドリンが絡む、「かみしばい」のアンサンブルにはハッとさせられる。

 佐藤博さんが歌う「あかんぼ殺しのマリー・ファラーについて」も、とても印象的な曲だ。

 インスト曲は、北村謙さんとやなぎさんがクロウハンマー・バンジョーでデュエットする「Arkansas Traveler」。そしてよしだよしこさんと辻井貴子さんのアパラチアン・ダルシマー・デュオ「dulcimer medley」。

 やぎたこの歌は4曲。やなぎさんが歌う「ラブ・ソング」(加川良)、「ライウイスキー」(朝比奈逸人)。辻井さんの歌う「くつが一足あったなら」(レッドベリー/高田渡)。いずれも先人をリスペクトしたようなまっすぐな演奏で、しみじみとさせられる。

 『永遠の絆』のタイトル曲に匹敵するオールスター参加の大合唱は、「We Shall Overcome」。そして、やぎたこのお二人によるオリジナル曲「旅という生活 生活という旅」でフィナーレ。

 ……以上、駆け足のご紹介で申し訳ない。それにしても、こんなたいへんなアルバムをよく完成までこぎつけたものだ。今度お会いする機会があったら、苦労話の1つや2つも聞かせてもらおう。

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