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2019年6月16日 (日)

父親の辞書

 古い国語辞書がある。『和英對照 明解新辞典 最新版』(愛之事業社)。父親が常に文机の上に置いて、愛用していた品だ。奥付には「昭和十一年四月一日 八版」とある。

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 私の父は蔵書を持たず、レコードや書画骨董のたぐいにも興味のない、ほとんど着の身着のままの人だったので、形見と言えるのはこの辞書と、いつも座っていた籐椅子くらいしかない。

 辞書は、小中学生の頃から父親黙認でときどき使わせてもらっていた。高校生の頃には、もう譲り受けていたかな? やけに古めかしい語釈が面白くて、いろいろな言葉を引いて遊んだ。そういうときには、たいていろくでもない単語を探すもので、たとえば「痴漢」のところに「たはけもの、ばかもの、しれもの」と書いてあるのを見てゲラゲラ笑った。いま振り返るとアホである^^;

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 全体に説明文はそっけなくて、やや物足りない。その一方で「和英對照」というだけあって、英単語も添えられて和英辞典としても使えるようになっている。「痴漢」のところには、「idiot イディオット fool フール」。う~む……。戦前の日本では、「痴漢」という言葉は文字どおりこういう使われ方をしていたのかね? 何か根本的なところが間違っているような気もするのだが……。

 そんなわけで、いまとなってはまったく実用的ではないシロモノなのだが、父親の思い出がぎっしり詰まっているような気がして、なかなか手放す気にはなれない。なにはともあれ、今日は父の日。

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