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2019年5月14日 (火)

ビル・モンローと荒城の月

 思わせぶりなタイトルで申し訳ないけれど、「Blue Moon Of Kentucky」の話になったりするわけではないので、念のため。

 ずいぶん昔の話だが、「題名のない音楽会」というテレビ番組で、司会の黛敏郎さんがドリカムの歌を取り上げて、「歌詞のイントネーションが日本語としておかしい」というような批判をされたそうだ。私はその場面を直接見てはいないのだけれど、新聞かなにかで顛末を読んで、作曲家の発言とも思えないな!と愕然としたのを覚えている。まあ、ナショナリストだった黛さんらしい発言と言えばそのとおり--という気もしないではないのだけれど……。

 日本語に限らず、言葉のイントネーションとは音程の上行、下行の組み合わせ--すなわちメロディそのものである。「正しい」イントネーションそのままにメロディをつけてまともな曲になる可能性はほとんどない。たしかに歌詞に合ったメロディ、合わないメロディというのはあるとは思う。だからといって、いちいちそんないちゃもんをつけるのは野暮というものである。素人さんならともかく、作曲家がそれを言っちゃあおしまいではなかろうか?

 たとえば、滝廉太郎作曲の「荒城の月」に対して、「日本語のイントネーションがおかしい」と批判する人はめったにいないと思うが、試みに歌詞を朗読してみれば、実際のイントネーションとの違いは歴然だ。

 冒頭の「ハルコウロウノ」からして、「春、高楼の」とは聴こえない。

 「メグルサ、カズキ」が「巡る盃」だとは、お釈迦様でも気がつくまい。

 「ムカシノヒカリ」なんて、競争馬の名前かよ?とつっこみたくなる^^;

 もちろん滝廉太郎さんを揶揄したいわけではなくて、歌を書くというのは結局こういう行為である、と言いたかっただけだが。

 おっと、余談が長くなってしまった(余談だったのかよ!)。3月21日に放送されたFMラジオ「A・O・R」のビル・モンロー特集の音源を聴いて、パーソナリティのユキ・ラインハートさんによる「ビル・モンロー」のイントネーションが気になり、それで上記の話を思い出したのだった。たぶんユキさんのイントネーションは、元の英語に近いのだと思う。ところが日本人同士では、まったく別のパターンで慣れてしまっているため、どうしても違和感を覚えてしまうという……。さすがに「こちらに合わせろ」と言うわけにもいかないし(だって向こうのほうが正しいんだから!)、これもまた、なかなかに難しい問題なのだよね……。

 そんなこんなで、以下はそのビル・モンロー特集のオンエアリスト。

  20:02 Toy Heart / Bill Monroe
  20:07 Uncle Pen / Bill Monroe
  20:10 Wheel Hoss / Bill Monroe
  20:15 Watgermelon Hangin’ On That Vine / The Monroe Brothers
  20:17 Tennessee Blues / Bill Monroe
  20:21 Swing Low, Sweet Chariot (LIVE) / Bill Monroe & His Bluegrass Boys
  20:27 Wayfaring Stranger / Bill Monroe & His Bluegrass Boys
  20:32 Fire On The Mountain (LIVE) / Bill Monroe & His Bluegrass Boys
  20:36 Mule Skinner Blues (LIVE) / Bill Monroe & His Bluegrass Boys
  20:39 Blue Grass Breakdown / Bill Monroe & His Bluegrass Boys
  16:42 My Last Days On Earth / Bill Monroe
  16:46 Blue Moon Of Kentucky / Bill Monroe
  16:49 Blue Moon Of Kentucky(Live) / Bill Monroe

 モンロー・ブラザーズの曲から、初期のブルーグラス・ボーイズ、アール・スクラッグスらの加わった時期の録音、グランド・オール・オープリーやビーン・ブロッサムのライブ音源、そして晩年の演奏まで、ひととおり網羅したつもりだ(モンロー・ブラザーズとソロ作の「My Last Days On Earth」以外は、すべてブルーグラス・ボーイズ名義。リストのクレジットがまちまちなのは、ネットのCDデータをそのまま使ったからだと思う)。

 1箇所だけ訂正を入れておくと、放送では「Fire On The Mountain」を「ドック・ワトソンとのセッション」と紹介していたけれど、このセッションにはドック・ワトソンは入っていない。たぶん『OFF THE RECORD volume 2』と混同したのだろうが、こちらは『volume 1』のほうのテックス・ローガンらとの演奏だ。

 ほかにも曲の説明でいくつか気になるところはあったけれど、なにはともあれビル・モンローさまの曲がまとめてラジオで放送されたのはめでたい、ということでご勘弁を……。

 最後の「Blue Moon Of Kentucky」は、三拍子のみのオリジナル録音と、三拍子からアップテンポの二拍子へとリズムが変化する後の演奏との聴き比べという趣向になった。あ! しっかり「Blue Moon Of Kentucky」の話で終わったね。

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