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2019年3月17日 (日)

アメリカ大陸のブラックミュージック

 3月16日(土)午後2時から一ツ橋の共立女子大で開催された、「アメリカ大陸のブラックミュージック」と題するシンポジウムに参加する。

 アメリカのブラック・ミュージックといえば、普通はブルースやジャズあたりがメインで語られそうなところだが、タイトルに「大陸の」と入っているところがミソ。これでUSAにとどまらず、カナダや中南米の黒人音楽にまで、一気に対象が広がることになる。今回はカナダの話は出てこなかったけれど、ブラジルやキューバの音楽に関わる、興味深いお話も聴くことができた。

 講演順に内容を整理しておくと、最初に登壇したのは、このイベントの主催者に当たる共立女子大の福嶋仲洋先生。「黒人に憧れる白人たち--リオデジャネイロ、ニューヨーク、ロンドン」と題して、黒人の文化に惹かれる白人インテリ層(ホワイト・ニグロ)の実像に迫った。ホワイト・ニグロの例として名前が挙げられたのは、ブラジルの作家で、カルロス・ジョビンらと共にボサノバを作り上げたとも言われるビニシウス・デ・モライス。アメリカのビートニク詩人、作家のジャック・ケルアック。ジャズに傾倒する英国の若者の姿を描いた小説「アブソリュート・ビギナーズ」の作者、コリン・マッキネスなど。

 早稲田大学の中村隆之先生の講演は、「反逆の反響(エコー)--コレット・マニーのアルバム『弾圧』(1972)に見る<ブラック・アメリカ>」。フランスの女性歌手コレット・マニーの歌に出てくる、アメリカの黒人解放運動支持のメッセージについて語られた。黒人に共感する白人の側に焦点が当たっているという点で、その前の福嶋先生の講演にも通じるものがあったような。

 東京大学の柳原孝敦先生の講演は、「ヘビが死んじゃった--キューバ、永続する東方の三博士の日のモチーフ」。19世紀に盛んだったものの、いまはすたれてしまった「ディアデ・レイエス(東方の三博士の日)」という祭りの出し物だった「ヘビの踊り」について、実際の音源も交えて紹介していただいた。

 最後は慶應義塾大学の大和田俊之先生。「黒と茶の合衆国--ブラック・アーツ・ムーヴメントとブーガルー」と題して、ラテン系のダンス音楽ブーガルーと、アメリカの詩と演劇の革新運動「ブラック・アーツ・ムーヴメント」についての2題。ブーガルーがシカゴで発生したらしいという説明が、とくに示唆的で面白かった。

 個々の講演はそれぞれに興味深かったのだが、地域的、時代的なへだたりも大きく、全体の地図を描くには、ジグソー・パズルのピースがあまりにも少なすぎた観も否めなかった。最初にアメリカ大陸全体の現状を概括するプロローグのようなものがあれば、よりわかりやすかったかもしれない。

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