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2019年1月31日 (木)

『聴かずに死ねるか!』制作ノート(5)

◆文体を変えよ!

 5月末に初稿を書き上げた時点で、こちらの作業はすでに半ばを超えたかと思っていたのだけれど、現実はそう甘くなかった。即座に「文体がよくない」という指摘が、編集の坂口さんから戻ってきた。敬体文(ですます調)ではなくて、常体文(だ、である調)に変えたいと言う。

 たしかに初稿の文は敬体で書かれていた。麻田さんが話されたとおりに文字に起こした結果、自然にそうなった。最初に自伝でいくと決まったときに、「だったら麻田さんが話されたとおりに書きますよ」と念を押し、了解してもらったつもりでいたのだが、話が通じていなかったようだ。これには頭をかかえた。

 語りおろしっぽい文章を避けたいという編集サイドの思惑もわからないではなかったが、文体を変えてしまったら本来のディテールが失われてしまいかねない。常体文に書き直すとなれば、語尾だけ変えれば済むというわけにはいかず、文章全体の言い回しを調整しなければならないからだ。たいへんな作業になることも目に見えている。

 「敬体文の自伝はたくさんありますよ」といくつか反例も挙げてみたのだが、坂口さんも譲らず。結局、6月4日の打ち合わせの席で麻田さんに判断してもらおうということになった。

 だったら、判断の材料があったほうがいいだろう。そこで冒頭の何ページかを常体文に書き直したサンプルを作って持って行くことにした。いまにして思えば、このときに手抜きというか、できの悪い文章を作ればよかったのかもしれないが、やりだすとついつい本気になってしまうもので。はたして、「こっちがいいかなぁ」と麻田さんが選んだのは、書き直した常体文のほうだった。う~む……。

 当然ながら書き直すのは私の仕事である。とはいえ、その後坂口さんから書き直しの指示はなく、こちらも積極的にやる気はなく、しばらく様子を見ることに。まあ、元原稿が麻田さんのところに行っている間は手が付けられない、という事情もあったのだけれど。

 事態が大きく動いたのは10月もおしつまった頃だ。10月22日の時点で、麻田さんが加筆訂正した原稿が届く。この段階ではまだ敬体文のままだった。

 9月刊行の予定は1月に延期になっていたけれど、いずれにしても時間の余裕はあまりない。坂口さんからの指示は「原稿整理を」というだけだったので、そのままうやむやにしてもよかったのかもしれないけれど、やはり気になるものは気になる。「それで文体はどうしましょうか?」とおそるおそる尋ねると、「常体文にしましょう」という答えが返ってきた。あ~、結局そうなるのか~!

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