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2019年1月27日 (日)

40数年越しの出会い

 中塚正人さんと言えば、「吹雪哀歌」そして「風景」。73年の春一番コンサートのライブ盤に収められた、この2曲の演奏が、私の中ではいまだに色あせないでいる。ご本人によれば27歳のときに音楽活動を休止して山口に引っ越してしまったそうで、そのため私は一度もライブに接することなく今日まで来てしまった。

 そんな中塚さんが久々にまた歌い始め、東京にもやってくるという。お茶の水や東中野でもライブがあって、こちらは家からすぐ見に行ける距離ではあったのだが、あえて26日(土)の福生Cafe ToRamonaのコンサートに行くことにした。

 店主の浦野茂さんから何度かお誘いをいただいていたのに、まだうかがえていなかったというのが理由の1つ。それともう1つ、村上律さんとの共演だったことも大きかった。このお2人の組み合わせなら、きっととうまくかみ合うのではないかと思ったのだ。

 ……とは言いつつも福生は遠い。高田馬場で西武線に乗り換え、五日市線で拝島から東秋留まで、というコースを選択したら、乗車のときにボタンを押してドアを開ける電車というものを、人生で初めて体験できた^^;

 閑話休題。コンサートは村上律さんのソロで始まった。バンジョーとドブロを駆使しての弾き語り。マイクロフォンもいっさい使わない完全な生音でのパフォーマンスだったのだが、これがしみじみと沁みてくる。村上律さんのライブは、律&イサト、アーリータイムス・ストリングス・バンド、ラストショー、武蔵野タンポポ団など、何度も見てきたけれど、それらとはまたひと味違ったよい演奏だった。

 そのあとは初体験の中塚正人さんのライブ。「吹雪哀歌」が始まったときには、なにやらジーンとくるものが。お若い頃はわりとしわがれた声のイメージがあったのに、それが歳を経た現在は澄んだクリアなボーカルになっている。本当はこんな歌い方をする人だったのか。この発見には感動させられた。ギブソンJ-45(……とご本人はおっしゃっていたけれど、見た目はナチュラル・フィニッシュのJ-50のような感じだった)のサウンドを活かしたギター・ワークも素晴らしい。

 最後に村上律さんを迎え入れてのセッション。高田渡さんの「鉱夫の祈り」「生活の柄」を2人で演奏して、フィナーレはもちろん「風景」。「吹雪哀歌」と共に19歳のときに作った歌であることをMCで知ったけれど、その歳でよくこんな歌詞を書けたものだ。

  僕が よぼよぼの 爺さんに なったならば
  僕は 君を連れ この街を 出るんだ

 最後はお客さんも加えて全員の大合唱。およそ50年を経たいまとなっては、この歌に歌われているとおりの年齢層によるシングアウトになってしまったような。それでも歳を重ねたことで実は得たものもあるのでは、と思わせてもらえるひとときだった。

 終演後は、お客さんも参加しての打ち上げ。なんと500円の追加料金で飲み放題、心づくしの料理も食べ放題という、採算度外視の大盤振る舞いである。中塚さん、村上さんともゆっくりお話ができて、やはりはるばる福生まで来てよかったのかも。

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