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2017年10月

2017年10月29日 (日)

楽器は語る・フィンガーピッキング・ギター編

 2週続けての台風接近ということでずいぶん心配していたけれど、幸い土曜日のイベント当日には雨もたいしたことなくてやれやれ。おかげさまで、今回も満員盛況だった。ゲストの中村まりさんが惜しげもなくテクニックを披露してくださって、内容的にもかなり盛り上がったのではないかと。

Withnakamuramari

 「楽器は語る Talk About Roots Music」Vol.2 フィンガーピッキング・ギター編。武蔵小山Againで、10月28日(土)午後3時半に開演。

 前半はゲスト紹介も兼ねての楽器談義と奏法解説、そしてミニ・ライブ。シンガー・ソングライターでフィンガーピッキング・ギターの名手でもある中村まりさんにいろいろつっこませていただいて(逆につっこまれもしたけれど^^;)、なかなかに面白いお話が引き出せたような気がする。

 クラシック・ギターからスタートして、高校生のときにアメリカ留学をしたのをきっかけにステール弦のギターを知ったこと。ドック・ワトソンのファースト・アルバムやミシシッピー・ジョン・ハートのトリビュート盤『AVALON BLUES』(Vanguard 2001)を聴いて、アメリカン・ルーツ・ミュージックに興味を持ったこと。ステファン・グロスマンの教則ビデオから学んだこと。ロン・セクスミス、ポール・マッカートニー、レオン・レッドボーンなどからも影響を受けたこと……など興味深い話をたくさんうかがえた。

 奏法解説では、ボブ・ディランの「Don't Think Twice, It's All Right」、エリザベス・コットンの「Freight Train」、ミシシッピー・ジョン・ハートの「Make Me Pallet On Your Floor」、ビートルズの「Mother Nature's Son」などのフレーズを実際に弾きながら、わかりやすく説明してくださる。ミーハー・ファンの私としては、それを特等席で見られてハッピー。これだけでもお呼びしたかいがあったというものだ。

 ミニ・ライブは中村さんのソロが3曲。それから私もマンドリンでオジャマ虫して、「Fishin' Blues」を2人で。ヘンリー・トーマスの演奏を参考にしたと思われる、ロンサム・ストリングス&中村まりのバージョンを事前に個人練習してきたつもりだったのだけれど、本番ではちょっと間違えちゃったよ^^; まあ、デュオのパートは、イベントの演出上の余興だから、なんでもOK……。

 休憩をはさんでの後半は私のDJタイム。中村さんとのやりとりもいろいろあって、こちらも個人的には楽しくできた。参考までに、プレイした曲のリストを以下にまとめておく。

  Leo Kottke  Bouree
  Robert Johnson  Kindhearted Woman Blues
  Turner Foddrell  Slow Drag
  Mississippi John Hurt  Make Me A Pallet On Your Floor
  Merle Travis  Cannonball Rag
  Chet Atkins  Nobody's Sweetheart
  Reverend Gary Davis  Cincinnati Flow Rag
  David Bromberg  I Like To Sleep Late In The Morning
  James Taylor  You Can Close Your Eyes
  Bruce Cockburn  Happy Good Morning Blues
  Michael Hedges  Aerial Boundaries
  Petteri Sariola  Wake Me Up Before You Go-Go

 レオ・コッケの「Bouree」は、アメリカン・スタイルではないクラシック・ギターの対位法的なアレンジの例。以下、デルタ・ブルース、ピードモント・ブルース、カントリー、ラグタイム、シンガー・ソングライター、ニュー・エイジ……と駆け足で紹介した(ラグタイムのブラインド・ブレイクは、前半で中村まりさんがかけてくださったので省略)。2フィンガー、3フィンガーを中心に、最後はタッピングまで。

 時間の都合で70年代以降をかなりはしょってしまったので、その点がやや物足りなかったかも。そのあたりはヨーロッパの流れも絡めて、いつかまたの機会があったらと思ってはいる。ともあれ、お忙しい中、快く出演を引き受けてくださった中村まりさんにはいくら感謝しても足りない。ほんとうにありがとうございました。

 あ、そういえば、今回も2ショット写真を撮らせてもらうのを忘れちゃったな! 当日の写真を撮った方がいらっしゃたら、ぜひください。たはは。

 次回以降のスケジュールはまだ決まっていないけれど、来年にまた続く予定なので、どうぞご期待あれ。なんて言いつつ、今日は半分ぼ~っとした頭でカントリー・ロックの選曲をしておるのじゃが……。

2017年10月27日 (金)

土曜日のイベントとラジオのサザンロック・特集

 明日のトーク&ライブの準備であたふた。マンドリンのライト・ゲージの買い置きがなくなったので(ミディアム・ゲージはいっぱいある^^;)、昨日御茶ノ水の歯科病院に行ったついでに調達しようと思ったのだが、お気に入りの弦が見つからない。しょうがないのでものは試しとダダリオのミディアム/ライトを初めて買ってみた。ところがうちに帰ってパッケージを開けてみたら、なんとボールエンドになっているではないか! あわててパッケージを見直すと、たしかに「Ball End」と書いてあった^^;

 ご存知ない方のために書いておくと、弦の端っこの形状にはボールエンドとループエンドというのがあって、マンドリンの弦のバヤイ、フツーはループエンドだろと油断していたのだよ(下の写真の左側がボールエンド、右側がループエンド。わかりにくいかな?)

Stringend

 しょうがないので次善の策で、まだ残っていたジョン・ピアースのスタンダード・ゲージ(おそらくミディアム/ライト・ゲージ相当)を張ることにした。な~にやってんだか……。ボールエンドの弦はオベーションのエレアコ・マンドリンに張ることにしよう。

 そんなこんなで、明日の「楽器は語る Talk About Roots Music Vol.2」フィンガーピッキング・ギター編。武蔵小山Againで、午後3時半開演の予定です。人気のシンガーソングライター、中村まりさんをお迎えして、オタッキーな内容で迫りたいと思ってますので、どうぞお見逃しなく。まだ台風はだいじょぶそうですし。

 それともう1件。FMラジオ「A・O・R」のご報告もしておかなければ。9月28日(木)に放送されたサザン・ロック特集の曲目は以下のとおりだった。

  20:02 Keep On Smilin’ / Wet Willie
  20:08 Watchin' TV (With the Radio On) / Barefoot Jerry
  20:13 Revolution Come, Revolution Go / Gov’t Mule
  20:23 Speak Of The Devil / Sam Bush
  20:29 Am I The Kind Of Man / The Marshall Tucker Band
  20:33 Something To Make You Happy / The Derek Trucks Band
  20:38 Statesboro Blues / The Allman Brothers Band
  20:41 Sweet Home Alabama / Lynyrd Skynyrd
  20:46 Champagne Jam / Atlanta Rhythm Section

 曲数がいつもより少なめなのは、長い曲が多いから……だと思う。わりと無難な選曲にしてみたつもりだけれど、サム・ブッシュ、ベアフット・ジェリーあたりでちょっぴり個性を出してみた。まあ、「Speak Of The Devil 」なんて、ほとんどオールマンなんだけどさ。

 --というところで、次回の放送はカントリー・ロック特集の予定。来週の収録までに選曲をしておかなくっちゃ。

2017年10月26日 (木)

口を真っ赤に染めて、はいチーズ^^;

 御茶ノ水の歯科病院で5ヵ月ぶりの健診。

 今回は磨き残しの箇所が赤く染まる試薬を初体験した。テレビCMで見たことはあったけれど、ほんとに鬼のように染まるね~^^; 女医さんから「ここと、ここと、ここをもっと磨くように」とお説教をされる……。まあ、それでも歯肉の状態はおおむね良好だそうで、虫歯もなし。そこそこめでたい。

 検診のあとは、いつものとおり歯石の除去と、歯磨き。イケメン先生のときは涙が出るほどガリゴリとやられたのに、いまは全然痛くなくて拍子抜け。やっぱり女の先生だからかしらね? まあ赤いところは全部取れたみたいだから、文句はないのだけれど……。

 そんなこんなで、次回は年が明けて2018年の4月26日(木)午後2時から。それまでせっせと歯磨きしなくっちゃ。

2017年10月24日 (火)

ライブ・マジック2日め

<2日め>
 日曜日は、台風接近に加えて、衆院選、ボクシングの世界ミドル級タイトルマッチと、いろいろあって、あわただしい1日になった。

 とりあえず午前中に投票を済ませ、昼食をとってからライブ・マジックの会場へ。セッション・パーティがあるというのでマンドリンを持って出かけたのだが、駅まで歩いているうちにどんどん雨風が強くなってきて、楽器も身体もびしょ濡れになるし、傘はおちょこになるし、靴の紐はほどけるしで、途中でかなり後悔した^^;

 結局、オマール・ソーサ&セクー・ケイタのステージには間に合わず。ガーデンルームでは、與那城美和さんと松永誠剛さんのデュオ・ユニット、ミャーク・ソング・ブックの演奏が、もう始まっていた。與那城美和は、宮古島の民謡歌手。そのボーカルに松永誠剛のウッド・ベースが絡む。宮古の伝統音楽とジャズとの融合というよりは、まず古式にのっとったアカペラの歌があり、そこにアンビエントな低音がつかず離れず寄り添うような不思議な音像だった。歌詞の意味はまったくわからなかったけれど、どこかスピリチュアルな神々しささえ感じた。

Quartertoafrica1

 ガーデンホールに移動して、イスラエルのクォーター・トゥ・アフリカを見る。サウンド的には北アフリカっぽい感じかな? ソリッド・ボディのエレクトリック・ウードをフロントに、エレクトリック・ベース、ドラムス、パーカッション、キーボード、サックス、トランペットという7人編成のバンドだ。ファンキーでダンサブルなリズムながら、アラブの音階が多用されているため、ずいぶんとユニークな音に聴こえる。ときにはクレズマーのようなサウンドに聴こえることもあったような……。

Quartertoafrica2

 フラットバック、ソリッド・ボディのエレクトリック・ウード。12弦のエレガット・ギターではないので、念のため^^; いちばんのハイライトは「炭坑節」だったのではないか。おなじみのリフ(?)をウードで弾き始めたときには、一瞬何の曲だかわからなかった。ともあれ、会場全員で「ヨイヨイ!」と合いの手を入れる心地よさときたら……。1日めの民謡クルセイダーズのところでも書いたけれど、こうした日本人なら誰でも知っているような楽曲は、実は貴重な財産なのだ、とあらためて思う。

Livemagic

 ずぶ濡れになりながらもなんとか楽器を担いできたのは、このためだった。We Banjp 3をフィーチャしてのセッション・パーティ。はっきり言って、アイリッシュのセッションはあまり得意ではないのだが、好奇心が勝って参加することにしたわけだ。楽器を弾いていると当然写真を撮る余裕はなし……と思いきや、かたじけないことに五十嵐正さんが撮影してくださっていた。感謝! まあ、「楽器持ってこいよ」とそそのかしたのも、実は五十嵐さんだったのだけれどね。

 ガーデンルームの中央に椅子を丸く並べて、セッションのスペースが設けられる。台風にもかかわらず、参加者はかなりの人数になった。

 記憶をたどって記録しておくと、テナー・バンジョーが1人、フィドルは2人、ボタン・アコーディオンが1人、マンドリンは私を含めて2人、ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)が1人。いちばん大人数だったのがパーカッション系の楽器で、それも和太鼓、バンデイロ、カホニート(?)など、アイリッシュにとどまらないさまざまなタイプの楽器が揃っていて、壮観だった。こういう異文化セッションは楽しい。

 当然のことながら、セッションを仕切るのはWe Banjo 3のメンバーだ。アイリッシュのメドレーを中心に、「Little Liza Jane」を会場全体でシングアウトしたり、Gのブルースでソロ回しをしたりと、いろいろ趣向を変えて、エンターテイメントとして成立させていたのはさすが!

 このあたりでだいぶくたびれてきたのと、楽器を持ってうろちょろするのもしんどいのとで、早めに引き上げる(ニュー・シチューや、濱口祐自さんや、We Banjo 3は、すでに充分堪能していたし^^;)。大事をとって早めに帰ったのは正解だったみたいで、月曜日には風邪でダウンすることに。ここのところ、夜遊びばかりしてたからな……。

2017年10月23日 (月)

ライブ・マジック1日め

 台風接近中の大雨の中、あちらこちらへと歩き回ったせいか、はたまた連夜の夜遊びがたたったか、どうも風邪気味みたいだ。鼻水がとまらない。おまけにふくらはぎのあたりに筋肉痛も出ている。ライブ・マジックでず~っと立ちっぱなし、ステップ踏みっぱなしだったせいかな? 階段を使って2つの会場を行ったり来たりしなければならなかったのも、地味に効いているかも知れない^^;

 そんなこんなで、21日(土)、22日(日)と2日にわたって恵比寿ガーデンプレイスで開催された「ピーター・バラカンズ・ライブ・マジック!」のレポートである。風邪のせいか、いまひとつ頭がまとまらないので、写真を中心にお茶を濁すとしよう……。

<1日め>
 会場に到着すると、ちょうどラウンジで濱口祐自さんの演奏が始まるところだった。濱口さんは、ご存知のとおりアメリカンなフィンガー・ピッキングの達人だ。とくにデルタ・ブルース系のスライド・プレイは絶品である。ユーモラスな語りを交えたステージは、あいかわらずすばらしかった。ビールを飲むのに忙しかったこともあり^^;写真はなし。

Minyocr

 やっと人心地ついたところで、メイン会場のガーデンホールの民謡クルセイダーズ。ひとことで言えば、ラテンのリズムをバックに日本の民謡を歌うバンドということになる。レパートリーは「会津磐梯山」「金毘羅船々」「串本節」「ホーハイ節」など、ほとんどのお客さんにとってなじみがあるだろう曲がズラリ。こういう共通のバックボーンとなり得る伝統音楽っていうのは、日本人にとって貴重な財産なんだと思う。がんばってほしいな(私も及ばずながらがんばりたい)。もうちょっとリズムがタイトだったら……と感じるところがないでもなかったけれど、逆にこのレイドバックした感じがいいのかもしれない、と思い直した。

 お次はシンガポールから来た4人組スティーブ・マックイーンズ。……すごいバンド名だね、しかし。ライブ・マジックの公式サイトでは「ジャンルレス」と紹介されていたけれど、個人的にはスティーリー・ダンあたりのサウンドに近いような気もした。テクニック的にはすっごくうまいのだけれど、私の好みからすると、ちょっとクールすぎたかも……。ステージが暗すぎたため写真はなし。

Newstew

 この日の個人的なハイライト、ザ・ニュー・シチュー。凄腕のミュージシャンたちが集合したセッション・ユニットと言っていいだろう。写真はラップ・スティール・ギターのローズヴェルト・コリアー。エモーショナルなスライド・プレイがサイコーだった。ボーカル、アコースティック・ギターのジェーソン・エスリッジもエモーショナルでかっこよかったし、デレク・トラックス・バンドのリズム隊の2人もよいグルーブを作っていた。とにかく言うことなしの素晴らしい演奏だったと思う。ビル・ウィザーズのアルバム「ライヴ・アット・カーネギー・ホール」を全曲カバーしていたようだ。

Renaissance

 このあとはガーデンルームのザ・ルネッサンス(小原礼さんと屋敷豪太さんのユニット)を見るか、ラウンジのフラワーポット・メンを見るかで悩んだけれど、最初のほうだけルネッサンスを見て、それからフラワーポット・メンへ駆けつけることにした。ルネッサンスはビートルズ・ナンバーの「One After 909」からキック・オフ。この日はギターを加えた3人編成だった。

Flowerpotmen

 フラワーポット・メンは、日本在住のアメリカ人、ウェールズ人、アイルランド人のトリオという多国籍ユニットだそうな。アメリカン・フォーク、オールドタイム系のレパートリーを中心に演奏していた。正直なところ、フィドルもマンドリンもバンジョーもギターもそんなにうまくはないのだけれど^^;なかなかにご機嫌な演奏で、お客さんにもたいへんウケていた。

 ……長くなってきたので、この続きはまた明日。

2017年10月19日 (木)

前回も濃ゆい内容だったけれど……

 中村まりさんとのメールの打ち合わせ、ほぼ完了。

 28日(土)のAgainのイベントに関するやりとりをしていたのだが、話をうかがっているうちに、今回もずいぶんと濃い内容になりそうな予感がしてきた。

 とにかく、中村さんは本気である。言いだしっぺの私なんかよりも、はるかに熱が入っている気がする^^;

 そんなこんなで、「楽器は語る Talk About Roots Music」Vol.2は、アメリカン・スタイルのフィンガーピッキング・ギターについて、ずんずんと掘り下げていく予定。中村さんは、主に歌の伴奏としてのフィンガーピッキング・ギターという視点で語ってくださることになった。ミシシッピー・ジョン・ハート、エリザベス・コットン、ドック・ワトソン……あたりのファンの方はお見逃しなく。

 もちろん、奏法の実演やミニ・ライブもたっぷりと。前回に引き続いて、私もずーずーしくしゃしゃり出て、なんとか1曲セッションをさせていただこうかと考えておる。となると、コード進行くらいは、ちゃんととっておかないと。ふ~む。あの人のバージョンとはずいぶん違うのね……。

 

楽器は語る Talk About Roots Music Vol.2
 DJトーク&ミニ・ライブ
 フィガーピッキング・ギター編

●日時
 10月28日(土)
 開場:14:30 開演:15:30

●会場
 Live Cafe Again
 〒142-0062 品川区小山3-27-3 ペットサウンズ・ビル B1F
 http://www.cafe-again.co.jp/

●Charge
 1,600円

●出演
 奥 和宏(トーク)

●ゲスト
 中村まり(アコースティック・ギター)

2017年10月17日 (火)

ラッキーすぎたライブの日

 昨日の朝のこと。いつものようにテレ~ッとしていたら、いきなりの電話。その前の日に見に行ったWe Banjo 3の日本ツアーを主催している会社からで、「お送りしたチケットが間違っていることがわかりました」とおっしゃる。

 本来は16日の渋谷クアトロのチケットを送るべきだったのに、間違って15日の所沢のものを送ってしまったというのだ。……ということは、私がオーダーを間違えたわけじゃなかったんだな^^;

 「もう見に行っちゃいましたから(ご心配なく)」と返すと、「本日のクアトロの公演を無料ご招待にさせていただきます」だって。それだと1回分のチケット代で2回見られることになっちゃうじゃん。少し虫が良すぎるような気もしたけれど、先方が「ぜひどうぞ」と勧めてくださったので、ありがたくお受けすることにした。

 どたばたと連絡を入れ、用事を片して、クアトロへ。ステージ構成は前の日とほとんど変わらなかったものの、お客さんのノリがよくて、会場のボルテージもうなぎのぼり。ずいぶんと盛り上がった演奏になった。これを見られたのは僥倖というしかない。

 会場には見知った顔もちらほら。長らくごぶさたの方から、最近お会いしたばかりの方まで、へこへことご挨拶して回る。ピーター・バラカンさんのところにもご挨拶に行ったら、今週末のライブ・マジック(恵比寿ガーデンプレースで開催される音楽フェス)に招待してくださるとおっしゃる。そういえば今年のライブ・マジックの大トリはWe Banjo 3が務めるんだった。まったく予期していなかったので、心底驚いた。We Bamjo 3の招待に始まり、ライブ・マジックの招待で終わる……。こんなラッキーな日もあるんだな。

2017年10月16日 (月)

アメリカンなアイリッシュ・バンド

 てっきり渋谷だと思っていたら、西武新宿線の航空公園だった^^; --というわけで、昨日は所沢市のミューズ・マーキーホールまで、We Banjo 3のライブを見に行った。午後4時開演というやや異例の時間になったのは、会場側の都合だろうか?

 We Banjo 3は、アコースティック・ギター、フィドル、テナー・バンジョー、マンドリン(F-5タイプ)という4人編成。MCによれば「アイリッシュ・トラッドとブルーグラスをミックスした音楽」を志向しているそうな。とはいえ「アイルランドのパンチ・ブラザーズ!」という煽り文句は、ややミスリード気味で、むしろオルタナ・カントリー的な要素のほうが強かったかも。

 このサウンドならベースもほしいところだが--と思っていたら、アコースティック・ギター(エレアコ)がエフェクターを使ってオクターブ下の音を入れたり、フィドルが足元のパッドでバスドラの音を出したりし始めた。やはり本人たちにも自覚はあるのか。

 レパートリーは、アイルランドのダンス・チューンとアメリカンな曲目とがフィフティ・フィフティくらい。この日も「Little Liza Jane」「Soldier's Joy」「Long Black Veil」、さらには「Salt Creek」「Sally Goodin」のようなおなじみのメロディが次々と出てきて、ちょっと不思議な気分にさせられた。

 休憩をはさんだ後半のステージの頭には、沖縄のシンガー上間綾乃さんが登場。ソロで1曲歌ってから、We Banjo 3とのセッションで2曲。「Salt Creek」のメロディに沖縄の童歌(わらびうた)「じんじん」を乗せるという荒業を披露してくれた。組み合わせの面白さはあったものの、たとえばミシェル・ショックトの試みのように、新しい何かを生み出すまでには至らなかったような……。

 午後6時前に終演。若者らしい元気はつらつのステージだったと思う。個人的にはブルーグラス・ファンよりもカントリー・ファンにお奨めしたいかも。

2017年10月11日 (水)

フィンガーピッキング・ギターの基礎知識

 10月28日(土)に武蔵小山Aganで開催予定のDJトーク&ミニ・ライブ『楽器は語る Talk About Roots Muzic Vol.2』。かなり間近に迫ってきたということで、その事前情報……というか、より深く楽しんでいただくための基礎知識めいたことを少々書いておきたいと思う。はっきり言えば宣伝ですにゃ^^;

 第1回のバンジョー編に続く今回は、シンガー・ソングライターの中村まりさんをゲストにお招きして、フィンガーピッキング・ギターについて深く掘り下げるつもりでいる。わざわざ「フィンガーピッキング」と断わったのは、フラットピッキング・ギターについてもいずれ取り上げるつもりでいるからなのだが、それはともかく……。

 もともとギターは指で弾く楽器であり、クラシック・ギターはもちろん、ボサノバ、フラメンコなど、世界にはさまざまな指弾き奏法が存在するけれど、アメリカにも独自に発展したフィンガーピッキング・スタイルがある。話をアメリカン・ルーツ・ミュージックにしぼって、このアメリカン・フィンガーピッキング・スタイルを掘り下げよう、というのが今回のイベントの趣旨だ。

 初期のアメリカン・フィンガーピッカーの録音をたくさん残しているレーベルに、パラマウントがある。ラグタイム・ギターのブラインド・ブレイク、テキサス・ブルースの巨人ブラインド・レモン・ジェファーソンは、いずれも1926年にパラマウントからレコード・デビューした。1929年には、デルタ・ブルースの創始者と称されるチャーリー・パットンもパラマウントからレコードを出している。

 こうした黒人のラグタイムやブルースのプレイヤーが、最初にアメリカ的なフィンガーピッキング・ギターを録音したギタリストということになるのではないか。ちなみに、デルタ・ブルースマンとしておそらくいちばんよく知られているであろうロバート・ジョンソンがヴォカリオンからデビューしたのは、10年ほどあとの1936年のことだ。

 デルタ・ブルースとは一線を画すフィンガーピッキング・スタイルに、ピードモント・ブルースというのがある。ミシシッピー・ジョン・ハートはピードモントの出身ではないけれど、奏法的には典型的なピードモント・スタイルと言っていい。エリザベス・コットンやエッタ・ベイカーもこのカテゴリーに属するフィンガーピッカーだ。やや白人寄りと言える音の整理された奏法で、「ブルース」と呼ばれてはいるものの、実際にはブルース以前のソングスターの系譜を継ぐスタイルなのではないかという気がする。

 なお、ラグタイム・ギターのブラインド・ブレイクも、ピードモント・ブルースの代表的なプレイヤーということになっているけれど、サウンド的にはミシシッピー・ジョン・ハートらとはかなり異なる。こちらはラグタイム・ギタリストとして別枠にしたほうがわかりやすいのではないか。

 ピードモント・ブルースのプレイヤーたちは、フォーク・リバイバル期に白人のフォーク・ミュージシャンにも多大な影響を与えた。とくにレバーランド・ゲイリー・デイビスは、デイブ・ヴァン・ロンク、ステファン・グロスマン、デビッド・ブロムバーグといった著名なプレイヤーたちを育てた重要なギタリストだ。

 ……というところで、今日のところはひとまずこれまで。

2017年10月 9日 (月)

ベルウッド45周年コンサート

 10月8日(日)午後5時半より、新宿文化センターで、ベルウッド・レコード45周年記念コンサート。全席指定でいちばん安い2階席(実質3階席^^;)での観覧となったが、なかなかに楽しかった。

 第一部は、はちみつぱいとあがた森魚さんの演奏。第2部は高田漣さんを核にしたホスト・バンドにゲストが加わる形で、さまざまなミュージシャンが登場した。大御所の細野晴臣さんや鈴木茂さんから、ベルウッド設立当初にはまだ生まれていなかったはずの「若手」ミュージシャン、GLIM SPANKY、志磨遼平、キセル、曽我部恵一、ハンバートハンバート……まで。ベルウッドにゆかりの深いみなさんばかりでなく、下に続く世代の人たちも多数参加したのが素晴らしいと思った。

 曽我部恵一さんとハンバートハンバート以外は、今回初めて拝見したのだが、個人的にはキセルの飄々としたパフォーマンスに感銘を受けた。ハンバートハンバート(個人的なお気に入り!)の「教訓I」「春一番」は悪かろうはずがなく。曽我部恵一さんが、南正人さんの「紫陽花」を取り上げてくれたのもうれしかったな。

 大御所の演奏では、鈴木茂さんの「氷雨月のスケッチ」「花いちもんめ」が、現役感バリバリなのが印象的だった。アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、5弦バンジョー、テナー・バンジョー、マンドリン、ペダル・スティール・ギター……とさまざな楽器を駆使して大忙しだったホスト役の高田漣さんの活躍にも拍手。

2017年10月 8日 (日)

私がOAKで買ったもの

 原宿OAKの話を書いているうちに、いろいろなことを思い出してしまった。

 このお店には、ブラックホークを辞めたあとの松平維秋さんが関わっていたような記憶がある。店名の「OAK」はニューヨークの音楽出版社Oak Publicationsにちなんでいるのかな、と想像はしたものの、確かめてはいない。ともあれ、オーク・パブリケーションの音楽書を訳したミュージックセールス社の本や、クイックフォックス社の料理本がたくさん置いてあったことだけはよく覚えている。

 アーリータイムス・ストリングス・バンドの最初のレコードを買ったのもこの店だったような気がする。ライブ音源を集めたこの自主制作盤(たぶん)は、私の宝物になった。

Etsb

 それからペニー・ウィッスル。最初に買ったのはバークレーのフィフス・ストリングだったけれど、このときはまだ勝手がよくわからなくて、いろいろなキーの管を1本ずつ買った。そのあとOAKでD管だけまとめて買った。いまでも1本だけ残っているのを見ると、OAKのロゴのシールが貼られているのがわかる。

Penny

 音楽書もそこそこ買ったはずなのだけれど、いまとなってはどれがどれやら……。このフェアポート・コンベンションの楽譜集には、ミュージックセールス社の「直輸入オリジナル版」というシールが貼られているから、きっとOAKで買ったに違いない。あとは、ミュージックセール社の翻訳本も何冊か買っているはず。

Fairport

 ミュージックセールス社の本と言えば、別件でいろいろ思い出すことがあるのだけれど、その話はまた別の機会に……。

2017年10月 7日 (土)

都市論から音楽史へ

 希代の音楽プロデューサー、牧村憲一さんの著作だったら『ニッポン・ポップス・クロニクル1969-1989』や『「ヒットソング」の作り方』も読んだ。どちらも当事者ならではの「いま明かされる真実」が満載で面白かったけれど、今度の本はそれに輪をかけて面白い。なによりも随所で語られる都市論がいい。発展する都市のエネルギーが音楽の進化に関わっていく様子がいきいきと描かれていて、ワクワクさせられた。

Sibuya

 『渋谷音楽図鑑』(大田出版)。牧村憲一、藤井丈司、柴那典の3氏の共著となっているけれど、実質的な語り手は牧村さんだろう。敬体文にときおり常体文が混じる独特の文体は、話し言葉をそのまま書きおこした結果ではないかと思われる。

 第一章の章題は「公園通り」、第二章は「道玄坂」、第三章「宮益坂」、第四章「原宿」……と地域ごとに分けて、渋谷がどのような過程を経て音楽の街に変わっていったかが解き明かされる。まえがきの結びに「僕はやっと自分史と音楽史を重ね合わせることができました」とあるが、音楽史と自分史が並行し、ときには交差していくのみならず、その間隙に郷土史も絡んでくる。この重層構造がなかなかに刺激的だ。

 私にとって、渋谷はそれほど身近な存在というわけではないのだけれど、それでも道玄坂のヤマハやブラックホーク、宇田川町のクラブクアトロ、タワーレコードといったなじみの名前が出てくると、さまざまな思い出がよみがえってきて懐かしい気分にさせられた。本書には書かれていないけれど、ほとんど原宿よりの裏通りにOAKというお店もあったっけ。ここは、珍しいレコード、輸入の音楽書や、ちょっとした楽器類、それに料理の本まで置いてある楽しい店だった。そういえば、D管のペニー・ウイッスルをまとめて買ったのもこの店だったな。

 第五章「渋谷系へ」までが、渋谷生まれの牧村さんの視点から語られる渋谷の音楽史。第六章「楽曲解析」、第七章「二一世紀」はがらりと趣を変え、3人の著者による鼎談となる。

 六章では、はっぴいえんど「夏なんです」、シュガー・ベイブ「DOWN TOWN」から、コーネリアスの「POINT OF VIEW」まで、都市型ポップスの代表曲をピックアップして、曲の構成を解析しようと試みている。正直、ここは食い足りないというか、全体の流れをさまたげているような気がしないでもなかった。とはいえ意欲的な試みであることは間違いないので、次作でのさらなる展開を期待したい。

2017年10月 3日 (火)

生態系の維持のために何ができるか?

 ほとんど書名で持っていかれた感がある。本書は、恒常性を維持するために自然界に存在する調節のメカニズムについて語っている。もちろんこのルールはタンザニアの国立公園にのみ適用されるわけではなく、我々の周りのごく身近な環境にも、さらには身体の中の細胞レベルにも存在するものなのだが、あえて「セレンゲティ」と限定したところがミソだ。これだけで、とたんにイメージが鮮明になってくる。

Serengeti

 『セレンゲティ・ルール 生命はいかに調節されるか』(紀伊国屋書店 ショーン・B・キャロル著 高橋洋訳) 著者は進化発生生物学(エボデボ)の権威だそうだが、本書のテーマはむしろ生態学に傾いている。興味深いのは、環境を安定化するための調節のメカニズムには、マクロな生態系のレベルからミクロな遺伝子のレベルに至るまで、共通する規則があるという点だ。

 第1部では、恒常性と食物連鎖の概念について。第2部では、人の体内で生産される酵素の量や、コレステロールのレベルがいかに調節されているか。また、調節の不具合によって生じるガン細胞の異常な増殖の例について。第3部では、生態系レベルでの調節の仕組みと、その規則が破られたときに生まれる悲惨な状況、さらに破綻した生態系を回復する試みについて語られる。

 生物学者的な記述は思いのほか少なく、むしろジャーナリスティックな視点で、調節のメカニズムに関わるさまざまな発見をした先人たちの業績や人となりがまとめられていて、とても読みやすかった。絶滅の危機に瀕している多数の生物種たちを救うことは、めぐりめぐって人類を救うことになる--こうした著者の主張には、おおいに耳を傾ける価値があるのではないか。

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