« 汚部屋に麒麟 | トップページ | 鈴木カツさんのこと »

2017年6月 9日 (金)

ポストカードの誘惑6

 チター・バンジョー奏者の絵葉書はたくさんあるけれど、今度は少し毛色の変わったミュージシャンをご紹介しよう。カイザー髭も凛々しいジョゼフ・ブルという人だ。

Postcard06

 ばっちり正装でキメいてて、なんとなく堅物そうな印象でもあるが、見た目に違わぬクラシックの音楽家だったようで、「オペラティック・バンジョーイスト」と称されていた。なんでもバッキンガム宮殿で演奏したこともあったとか。

 1868年生まれのイングランド人。ベス・L・オスマンと同い年ながら、演奏スタイルはまったく異なる。音源を聴く限りでは、全編フラットピックを使ったトレモロ奏法で、コードにメロディを乗せるようにして弾いている。ソロのフラットピッカーとしては、かなり早い例と言えるのではないか。

 初レコーディングは、おそらく1909年。ワグナーの『タンホイザー』、ベルディの『イル・トロバトーレ』、グノーの『ファウスト』といったオペラのレパートリーから6曲録音している。

 「O Tender Moon」は、歌劇『ファウスト』から。オリー・オークリーの音源とアップ元が被っていて不本意ではあるけれど、YouTubeではこれ1曲しか見つからなかったため、ご勘弁願いたい。YouTube以外のデジタル音源もあまり存在していないようで、私が聴けたのは、この曲を含めて3曲しかない。

 もっとも3曲聴けば充分というか、オスマン、エプス、オークリーといったクラシック奏法のフィンガーピッカーたちに比べると、正直、いささか退屈なプレイだ^^; 同じフラットピッカーなら、20年代以降に登場するテナー/プレクトラム・バンジョーのプレイヤーのほうをお奨めしたい。

 この絵葉書が作られたのは、英国南イングランドSouth Norwood。発売年は不明。宛名面には「OPERA ON THE BANJO」なるキャッチ・コピーと、ブルの連絡先を記した印が押されている。おそらくは物販用、もしくは宣伝用のグッズだったのだろう。

« 汚部屋に麒麟 | トップページ | 鈴木カツさんのこと »

絵葉書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ポストカードの誘惑6:

« 汚部屋に麒麟 | トップページ | 鈴木カツさんのこと »