ポストカードの誘惑4
まだまだ続く絵葉書本出版促進プロジェクト第4弾。
絵葉書でもアーケード・カードのように有名人の肖像写真(日本風に言えばプロマイド)を扱ったものは多かった。バンジョーを手にした女優の絵葉書もそこそこネタはあるのだが、あえてマンドリンを弾くZena Dareをピックアップしてみた。
おそらく、「誰?」ではなくて「デア」と読むはず。英国の著名な女優兼歌手……だそうだけれど、私はこの写真を見るまで知らなかった^^; 『ピーターパン』の舞台でティンカーベルを演じたこともあったという。『ピーターパン』の初演は1904年、ロンドン・ウエスト・エンドのデューク・オブ・ヨークス劇場だったそうだが、そのときのキャストかどうかは確認できなかった。ちなみに初めてフライング(宙乗り)の演出がなされたのは、1954年のブロードウェイだそうなので、ゼナ・デア自身は、ぶら下げられて空を飛んだりはしていないと思われる。
この絵葉書は英国製で、版元はグラスゴー&ロンドンのMILLAR & LANG, Ltd.。発売年は不明だ。アーケード・カードのピンナップ・ガールに比べると、明らかに布の量が違っているけれど、これはこれで悪くない(何の話をしてるんだ?)。……というか、20世紀初頭の女優の絵葉書なんて、たいていこんなものなのだ(例外もないではないけれど、それは書籍用にとっておくことにする)。
手にしているマンドリンは、日本でもよく見かけるボウルバックのナポリ・スタイル。テールピースのデザインやトップのインレイの装飾など、そこそこ上級のモデルだと思われる。
ところで、この絵葉書をピックアップする気になった最大の理由は、カラー写真になっていたことだ。これまでの例を見ていただければ一目瞭然なように、20世紀初頭には、すでにカラー印刷はごくありふれた技術になっていた。ところが、カラー写真はまだそのレベルに達していなかったようで、絵葉書の写真は基本的にモノクロだ。ただし、手彩色でカラー化したものは少なくなかった。
中には元の写真をそこねてしまっているような粗末な例もあるのだが、この絵葉書はていねいな仕事で、上品な色使いがたいへん美しい。よく見ると、フリルのついたロングドレスのすそにイヌが寄り添っている。
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