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2017年4月29日 (土)

サイバー・パンクの逆襲

これは僕が書いた君のうた 手紙をくれた君たちの
とても古いことだから きっとみんな忘れているでしょう
                (サイバーニュウニュウ「宇宙」)

 たしかにずいぶん時は過ぎた。1980年代末のバンド・ブーム。その象徴とも言うべきTBSの深夜番組「いかすバンド天国(イカ天)」に出演したのが、89年11月。このときの印象が鮮烈だった。サイバーパンクなファッションと個性的なパフォーマンス。正直、演奏の技量はいまひとつのような気もしないではなかったけれど、それを補ってあまりある強烈な個性とセンスがあった。

 ひと目で気に入り、その後の活躍に期待したが、時代は彼らに微笑まなかったようで、バンド・ブームの終焉に呼応するかのように姿を消す。いつしか噂も聞かなくなった。

 そんな彼らが去年になって、バンド名そのままのタイトルのニュー・アルバム『CYBER NEW NEW』(MEDICOM TOY)で突如復活したのには驚いた。セカンド・アルバム『秘密のバス』からちょうど25年めの再始動である。サウンド的には以前よりもバラエティに富んだ印象もあるものの、毒を含んだするどい言葉使いは健在で、うれしくなった。

Cybernewnew

 現在のメンバーは、ボーカル、ベースのレプリ・シン、ギターのメカ・エルビス、ドラムスのセミメタルA太郎、パフォーマンスの忍者ボーイ・ヒデの4人。ドラムスがオリジナル・メンバーの真空管飛之助から入れ替わり、新たにパフォーマーが加わった編成だ。バンドの核となっているのがオリジナル・メンバーの2人、レプリ・シン、メカ・エルビスであることは間違いないだろうが、タイトなリズムのドラムスもいい。

 収録されている曲は2つのタイプに大別できる。1つめは、打ち込み風の4つ打ちダンス・ビートを前面に押し出した『スペースキャット』『サムライトランス』『Without Love』。とくに沖つ白波(井手コウジ)がリミックスしたという『Without Love』は、思いっきりボーカルを加工しまくったテクノ・ポップで、らしくないと言えばらしくないのだが、これが実によくできている。個人的にはベスト・トラックの1つだ。

 以前からのファンをとまどわせそうなこれらの曲に比べると、残りの4曲はレプリ・シン主導と思われるサイバーニュウニュウらしいサウンドに仕上がっている。とはいえ、ブラス・セクションをフィーチャーした16ビートのファンク・ナンバーや、民族音楽的な要素を盛り込んだ曲などもあって、一筋縄にはいかない。梅津和時のサックスをフィーチャーした「ダイナマイト☆不ユカイ」のように、ゲスト・ミュージシャンに助けられた部分も大きいかもしれない。

 3ピースのパンク・バンドという初期の印象にいちばん近いのは、最後に収められた「アシッドキングに捧げるうた」か。この曲ではいかにもメカ・エルビスらしいトリッキーなギターも堪能できるが、最後にちょっとした仕掛けが……。

 ところで、販売元のメディコム・トイは、フィギュア・メーカーだそうで、その関係か、これまでにはなかったような販売戦略が試されている。

 「Without Love」は、ミュージック・ガジェットNY@BRICK(ニャーブリック)なるミュージック・カード付きのフィギュアで先行販売もされた。このミュージック・カードを使ってネットからスペシャル音源をダウンロードできるというサービスが斬新だ。

 ネットにアップロードされた「Without Love」や「ダイナマイト☆不ユカイ」のプロモ・デオもなかなか凝っているし、アルバム自体もエンハンストCDだし、テレビ番組のエンディング・テーマにも使われていたしで、この気合の入れようはどうだ! 今後の展開にも注目しなくては。

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