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2014年9月21日 (日)

勝手にライナーノート--shiro

 一見抽象画のようだが、実はカットしたケーキとオレンジが3つずつ並んでいるおいしそうなジャケット。

Shiro

 shiroの最初のCDは、4曲入りのマキシシングル(あるいはミニアルバム)の形で届けられた。てっきり入っているものかと思っていた「Nuts」がはずれたのはちょっとショックだけれど、そちらは今後出されるであろうと信ずるフルアルバムに期待ということで。

 シンガーソングライターで作詞家の宮原芽映に、ギタリストの窪田晴男と丹波博幸を加えたアコースティックなユニットがshiroである。PPMのようなフォーク・トリオを目指して結成したという話だが、本気なのかジョークなのかとっさには判断がつきかねる。とはいえ、アコースティック・ギターのアンサンブルと美しいコーラスをフィーチャーしたトリオであることは間違いない。

 このCDでは、メンバー3人のほかに上原ユカリのパーカッションも入っていて、これがさりげなく効いている。

<アンダルシア>
 宮原芽映のソロ・アルバム『おかえり』(ビクター 1991)に収められていた曲の再演。オリジナルは四拍子だったのに、shiroではいきなり三拍子に変わった。

 スペイン旅行の心象スケッチである。「目に映るすべてを あなたに話しかけた」。一人旅の感傷の中で、女は日本に置いてきた恋人を思う。

 マンドリンやチャランゴ、インディアン・フルートまで入っていたオリジナルに比べて、こちらはギター2本とウクレレ、パーカッションというシンプルな編成ではあるが、迫力はむしろ増しているかもしれない。とくに2人のギタリストの間奏のソロ回しには、はっとさせられた。

<人形姫はなぜ人間になりたかったか>
 印象的な、そしていろいろな解釈ができそうなタイトルだ。ギターのアルペジオのアンサンブルが美しい。

 「人魚姫はなぜ人間になりたかったの?  なぜピノキオは人の子なんかになりたかったの?」 この問いの答は、行間に隠されている。

 決別していたはずの父と娘は、父親の入院を期にふたたび同じ時間を共有する。それでも父親につながれたカテーテルを見ながら、娘は待ち合わせの時間を気にしている。いま2人をつないでいるのは、やはりこの1本の細い管だけなのだ。

 それゆえに「だから理解なんかしないで ずっとずっとわからずやでいて」--という結びの一節が心に沁みる。

<代官山の電話ボックス>
 モデルになった電話ボックスは実在するのだそうだが、代官山の駅前を探してみても、どこにあるのかはわからなかった。

 夏休みの終わる1日の景色が、女の子と電話ボックスの双方の立場から語られる。少女は女子高生くらいの歳だろうか? 電話ボックス役(!)の窪田晴男が、低音の魅力でいい味出している。ブルージーなスライド・ギターも秀逸。

<夕焼け>
 作詞の宮原芽映が曲も書いているほかの3曲と違って、これは3人の共作。

 一見恋に破れた側のようでありながら、その実、主導権は女が握っている--というのは、この作詞家の書く失恋ソングのポイントであるような気がしているが、この歌も例外ではない。「あなたの可愛い 私は死んだの」。やさしく美しい歌ではあるけれど、自分が男の立場になってみると、このセリフはかなりシビアかも。

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