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2014年5月21日 (水)

孤独な月のかたわらに風を起こす

  弦の中に蜂蜜を仕込み
  孤独な月のかたわらに風を起こし
  全能の調べをかなでる
  幽霊のように弾き始め
  あるじのように弾き終えた
  
北でフィドル 南でフィドル
  君の言いたかったことを音に変え
  こちらでフィドル あちらでフィドル
  あらゆるものを救い出した
            (S.V.バネット「The Mountain Whipoorwill」)

 岸本一遥さんのフィドルを聴くと、こんな歌の一節を思い出す。

 昨夜は、武蔵小山Againで、岸本さんが率いるえーじゃん・ばんどのライブを見た。Againにうかがったのは、昨年やった出版記念のトーク&ライブ以来だ。ずいぶんのごぶさただったけれど、暖かく迎えていただいた。大瀧詠一さんにまつわる貴重な資料を見せていただいたりもして、たいへんありがたや。

 岸本さんのステージは、マンドリンを弾きながらの歌と、フィドルのインスト曲を半々ずつという構成。ほとんど自作曲のはずだ。えーじゃん・ばんどを聴くのも久しぶりだったけれど、それでも半分くらいの曲は知っていた。

 マンドリンも個性的なスタイルで面白いとはいえ、それでもフィドルの説得力にはかなわない。ほんとうに蜂蜜を仕込んだみたいな音なんだぜ。魂まるごと海の底から引き上げられたような気分になった。

 最後に思いっきり余談。

 岸本さんはフィドルの顎当てをはずしていた。じゃまになるからとっぱらってしまったそうな。バイオリンに顎当てが付くようになったのは比較的最近で、ルイ・シュポアという人が、1810年頃に開発したと言われる。もちろんストラディバリもガルネリ・デル・ジェスも、顎当てなんてものの存在は知らなかったわけだ。思うに、顎当ても肩当てもなかった時代のバイオリンの巨匠が現代によみがえって、その人が張本さんみたいな性格だったら、カツを入れまくってるんじゃないのかな?

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