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2013年11月 9日 (土)

至高の楽器って何だろう?

 11月3日(日)午後9時から放映されたNHKのドキュメンタリー「至高のバイオリン ストラディヴァリウスの謎」。同時刻に野球の日本シリーズもやっていたので^^; ビデオ録画しておいてあとから見たのだが……。結論から言うと、日本シリーズのほうを選んで正解だったようだ。

 番組のテーマは、バイオリンの名器、ストラディバリの製法の謎、音の秘密を探ること。それはいいとして、「史上最高の名器、ストラディバリの奏でる音色は唯一無二。いまだに誰も彼を超えられない」という結論ありきで検証が進んでいくものだから、なんとなく迷走気味の展開で、どうにも落ち着かない気分になってしまった。

 たとえば、ブラインド・テストではストラディバリとそれ以外の楽器との区別はつかない、という実験結果を提示しつつ、「実際に演奏するバイオリニストたちは明らかに音が異なると言う」と、こちらはブラインド・テストではなく、ストリラディバリの所有者たちの思いっきり主観的な意見を紹介する。どうやってこの2つを比較しろというのだろう?

 このあと、無反響室で42本のマイクを立体的に配置した同時録音を行ない、「ストラディバリは音の指向性が強く、斜め前方の音量が大きい」という定量的なデータが示される。これ自体はなかなか面白いと結果だと思うのだが、音の指向性が必ずしもよい音につながるわけじゃないしなぁ(この点は実験を担当した先生もほのめかしていた)。コンサートホールで音が遠くまで届くとされる理由の説明にはなるかもしれないけれど。

 身も蓋もないことを書くと、そもそも無指向性の楽器というのも珍しい気がする……。

 もう1つ気になったのは、あたかもアントニオ・ストラディバリが独力でバイオリンを完成させたかのような印象を与えかねない構成になっていたこと。ストラディバリの師匠にあたるニコラ・アマティや、後進のジュゼッペ・ガルネリ、ブレシアのガスパロ・ダ・サロ、ドイツのヤコブ・シュタイナーなどについての言及が全然ないのは、フェアとは言えないよな。ストラディバリの音の秘密を本当に探りたいなら、やはり同時代の、そしてそれ以前やそれ以後のバイオリン職人と比較してみないと。

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