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2013年3月20日 (水)

短命に終わったオリジナル・ファイヤーバード

 1950年代末のギブソンは、これまでの保守的なイメージを一新するかのような、ラディカルなデザインの変形ギターを次々と発表した。その代表的なモデルが、エクスプローラーとフライングVだ。

 63年に発表されたファイヤーバードは、こうした変形ギターの第2世代に当たるモデルで、エクスプローラーのアイデアを発展させたような、より革新的なデザインを持っていた。

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 中でも特筆すべきは、当時としては斬新なスルー・ネック構造を採用していたこと。ネックからボディまでを1本の材(ただし単板ではない)で作成し、ボディの両サイドにウィングを接着してあった。また、バンジョー・ペグを1列に並べたヘッドのデザイン(フェンダーのペグ配列を左右逆転させたようなデザイン)もユニークだった。

 ミニ・ハンバッキング・マイクをマウントしたそのサウンドは、フェンダーを思わせるような固めのトーンで、従来のギブソンのイメージとはかなり異なっている。おそらく、デザイン、サウンド両面ともに、フェンダーを強く意識した製品だったのだろう。

 ファイヤーバードは、I、III、V、VIIの4つのモデルが作られた。Iは1ピックアップ仕様。IIIとVは2ピックアップ仕様だが、Vのほうが装飾のグレードが高い。VIIは3ピックアップの最上位モデルだった。

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 1964年製のファイヤーバードIII。ボディと一体となったスルーネックは、マホガニーとウォルナットの9プライ。ボディ部は、両サイドのウィングよりも厚みがあるデザインになっている。スルーネックの弱点と言うべきか、経年変化で若干ボディの変形が見られ、音程が合いづらくて苦労した。サウンド的には大当たりで、私が所有していたエレクトリック・ギターの中でも1、2を争うごきげんな音がしたのだけれど……。

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 ピックガードにはファイヤーバードのエンブレム。どことなくスポーツカーを思わせるようなデザインだが、実際に自動車のデザイナーが設計したのだそうな。ネジ留め部分に破損が見られるのは、経年劣化でピックガードが縮んだのが原因だろう。

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 板バネ式のトレモロ・システムが採用されたテールピース。ここにトレモロアームを取り付けてビヨヨ~ンと音程を揺らすことができる(1つ上の写真も参照されたい)。金属製のブリッジに弦長補正のための段差がつけられているのにも注目。

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 独特のリバース配列のペグヘッド。ノブが下向きについたバンジョー・ペグの採用はデザイン的な効果を狙ったものか?

 オリジナル・ファイヤーバードの生産は63年から65年までと、ごく短命に終わっている。65年末にはデザインを一新したノン・リバース・モデルと呼ばれるラインアップに切り替わる。スルーネックもバンジョー・ペグも、こちらのリニューアル・モデルには採用されていない。オリジナル・ファイヤーバードのラディカルなデザインは、少し時代の先を行き過ぎていたのかもしれない。

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