« 12フレット? それとも14フレット? | トップページ | ドッペルゲンガー? »

2012年8月26日 (日)

マンドリンでもマーティン

 ギターやウクレレほどは知られていないようだが、かつてはマンドリンもマーティン社の主要なプロダクツの1つだった。

 その歴史はかなり古く、19世紀末の1895年には、マーティン社はマンドリンの製造を始めている。初期の製品は、すべてボウルバックの(背中の丸い)いわゆるクラシック・スタイルだった。

 20世紀に入ると、ギブソン製のフラットバック・マンドリン(厳密に言うと「アーチバック」なのだけれど)がアメリカの市場を席巻し始める。この勢いに屈したライバル・メーカーたちも、次々とフラットバックのモデルを投入するようになった。マーティン社も例外ではなく、1914年にはフラット・マンドリンの生産を開始している。

 マーティン初のフラット・マンドリンは、おなじみのフラットトップ・ギターをコンパクトなティアドロップ(流滴)型にまとめたようなデザインだった。スプルースの表板は、一見フラットトップのようだが、厳密にはクラシックのマンドリンによく見られるベントトップ(ソリッドな薄い板をブリッジのあたりで軽く折り曲げてある)。オーバルホールの脇にベッコウ柄のピックガードを配したデザインが、いかにもマーティンらしい。

 裏板はギターと同様のノーマルなフラットバック。木材もギターと変わらぬ(ブラジリアン)ローズウッド、もしくはマホガニーを使用していた。

 1929年になると、削りだしのアーチ・トップ&アーチ・バックを持つ、よりオーソドックスなデザインの(よりギブソン的な)マンドリンも開発された。まずはオーバル・ホールを持った2つのモデル。さらに36年にはfホールを持つモデルも登場した。このfホールのアーチトップ・マンドリンは、その前年に満を持して発表されたマーティン製アーチトップ・ギター、F-9、F-7のマンドリン版とでも言うべき製品だった。

 マーティンのマンドリンは、今日正当な評価を受けているとは言い難いものの、楽器としての性能はけっして悪くない。実際に手にとってみると、仕上げも丁寧だし、サウンドもしっかりしていることがわかる。個人的には、もっと人気が出てもいいのになと不憫に思っておるのだが……。

2_15topa 2_15back

 1959年製の2-15。マーティンには珍しい、fホールを持ったマンドリンの1つだ。短命に終わったモデルが多いマーティンのアーチトップ・マンドリンの中では、36年から64年までの生産と、比較的長命だった。同時期のギブソンのA-50などと比べても、楽器としての格はこちらのほうが上かもしれない。

2_15topl

 サンバーストのフィニッシュ、fホールのデザインなどは、当時のマーティンのトップラインだったアーチトップ・ギター、F-9、F-7とよく似ている。

2_15backl

 バック&サイドのメープルはたいへん美しい柾目のトラ杢。

2_15neck

 ネックのフレイム・メープルもいっさい妥協なし!

2_15head

 ペグ・ヘッドはたいへんシンプルなデザイン。これが上位モデルだと、上部に透かし彫りの入ったより複雑なシェープになる。

« 12フレット? それとも14フレット? | トップページ | ドッペルゲンガー? »

楽器」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マンドリンでもマーティン:

« 12フレット? それとも14フレット? | トップページ | ドッペルゲンガー? »