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2012年2月23日 (木)

トリニテ・ライブ

 しばらく聴かないうちに、ずいぶんと骨太な音楽になっていた。室内楽を思わせる端正なパートも美しかったけれど、それ以上にどろどろとした民族音楽的な情念がほの見える瞬間にはっとさせられた。

 フリーなモード風の旋律が一瞬アイリッシュ・トラッドを思わせたり、クラリネットの調べがクレズマーに重なったり。以前にshezooさんが「アイリッシュをやりたい」と語っていたときは、この人何を言ってるんだろうといぶかしんだものだが、あれは本気だったのか。

 代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」でのトリニテのギグ。フロントにバイオリンとクラリネット。背後にパーカッション。左手脇にピアノ。少し離れた位置にいるピアノが、指揮者のようにバンド全体をリードする。こうして生まれた安定感を揺るがすのがパーカッションの役割だ。ステージ上の布陣が、そのままバンドの役割分担を象徴していると言っていい。

 プログレ風のリフが印象的な「テロメア」は、面白いテーマを持った曲だ。テロメアとは遺伝子(DNA)の情報を保護するために染色体の末端に置かれた余分な塩基配列のこと。テロメアは細胞分裂を繰り返すうちに短くなる傾向があり、テロメアの長さで細胞の老化度を知ることができると言われる。クローン羊のドリーが短命だったのは、クローンの元となった染色体のテロメアが短かったからではないかともされる。生と死をつかさどる指標のようなものと捉えてもいいだろう。こんなテーマを引っぱり出してくる作曲者の心理はいかがなものか?

 こうした曲に血肉を与えるバイオリンとクラリネットのふくよかな音色もまたすばらしかった。中にはバイオリン奏者が気の毒に思えるような曲もあったけれど、ああいうスコアをしれっと渡せちゃうところがshezooさんらしいというか……。

 対バンは、同じくインスト・ユニットのEG3S。バイオリン、フルート、キーボード、ベース、ドラムスという編成といい、演奏のアプローチといい、よく似通ったバンドのように感じた。リズム・セクションが強力だったことも特筆すべきだろう。

参考までに、YouTubeにあった以前のトリニテの演奏。このときの演奏は、わりとサロン的な雰囲気かも。

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